恍惚という表現がぴったりな瞬間が思い出されます。
後半44分、マリノスが1点リード。直前にクローザーの小椋も投入した。安心感がある。このまま逃げ切れるか。
中町が奪ったボールを素早く小椋がらマルキーニョス、そして俊輔。CBと対峙した俊輔はペナルティアークまでドリブルを進める。右足でシュート? いや、違う。切り返して左足に持ちかえる。2人のDFがコースを消しにくるところを、二度三度と切り返して、左足一閃。
助走のないプレースキックのように最小限のモーションで蹴られたボールは、ゴール左隅を揺らす。真夏の暑い一日で、試合終了直前になぜまだあんな動きができたのか。
そこからアウェー側スタンドは熱狂。シュンスケナカムラ! 俺らの誇り、ウルトラレフティ、シュンスケナカムラ! 5回、10回と繰り返しても鳴り止まない、キャプテンへの賛歌。歌っているだけで幸せ。この楽しい2-0のアディショナルタイムがずっと続けばいいのに。チャントのリピートが5分くらい続いて、俊輔コールに変わったときには、まだ試合中にもかかわらずゴール裏に手を振る俊輔。
優勝に向かって突き進んでいた3年前のシーズンのことです。
何年経っても忘れることはないでしょう。ああノスタルジー。
2014年の味スタはシーズン最終戦で、俊輔300試合出場の節目でした。
開幕2節でアデミウソンのデビュー戦となった2015年シーズンに続いて、味スタに俊輔の姿はありません。
とても寂しい。
3試合連続スタメンとなる天野純への期待はもちろん高く、キラリと見せる輝きのプレーの頻度がもう少し高くなれば、試合を決定づける働きも必ずやできると思います。
喜田拓也の出場停止の余波は、中盤におけるルーズボールの争奪戦に出ることでしょう。パクジョンスの能力を疑うわけではありませんが、久々の先発で試合勘が心配ですし、何より最近の喜田は集中力が凄すぎました。(ただ2枚目の警告をもらったシーンはのぞいて)
攻撃においても喜田がやっていた、勇敢なパス出しやトライを誰かができるでしょうか。できればそれが中町公祐であってほしいものです。
監督交代してから数試合が経ったFC東京はまだ落ち着かない様子。前節は後半に守備が瓦解しました。
それでも。崩したとしても、最後にゴールに押し込めない近頃のマリノス。
近頃? いやだいぶ前からそうでした。
たまにゴールネットをボールが揺らすこともあれば、それ以上に勢い余ったカイケがゴールマウスに吸い込まれるシーンの方がよほど印象に残ってます。
絶対的ストライカー不在と、齋藤学・マルティノスの「惜しい」シーン止まりは、夏の風物詩か。
私は、手詰まりの末の無敗を選ぶくらいなら、蛮勇と呼ばれても良いから捨て身でゴールを奪って見せて欲しい。その結果、敗れたとしても、臆病に引分た場合との勝ち点差は1しかありません。
リオ五輪のレスリングや陸上を見ても、リスクを取って挑戦した選手が栄冠を掴んでいますよね。
よく引分に持ち込んだとか、そういうのはもう沢山。やるからには、走って走って、それでもなお走って攻め続けて。
あの日の俊輔のように、走り負けずに、最後にもう一太刀を振ってやりましょう。
この先に続く戦いに意味を持たせられるかはすべて、自分たち次第です。
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