【保存版】中村俊輔がシャーレを掲げる

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幸せなレンタル移籍の末に、幸せな完全移籍はあるのでしょうか

将来を嘱望された若者が、出場機会を求めてレンタル移籍をする。J1のチームから選手層の薄いJ2やJFLへ、というのは、それもまたひとつの登竜門とも言えます。十代後半でいきなりJ1でレギュラー定着なんてほんの一握りの才能を持った者だけ。多くのレンタル移籍は恥ずかしいことではなく、武者修行のようなポジティブな意味合いが強いと言えるでしょう。

実際にレンタルされるかどうかは、ケースバイケースで、様々な要因の影響を受けます。例えば同じポジションの選手が大怪我をしたから、あるいは、チームがカップ戦で勝ち残っているから、控え選手も多く手元に置いておきたい、など。まとまりかけたレンタル話が流れることだってあるかもしれません。

才能のある若者が、どこへ行くのか、どんな指導者の元へ行くのか、そして本当に開花するのか。この巡り合わせには運も含まれます。レンタル先の水が合う、環境のちょっとした変化でのびる、そもそもコンスタントに試合にさえ出られれば一気に伸びる素地があった。いずれにせよ、才能が表に出てきたのならその移籍は成功と言えるでしょう。

その意味で、2011年、20歳時に移籍し、1年間を愛媛で過ごした齋藤学は「よいレンタル移籍」でした。本人は当初、レンタルされることに忸怩たる思いがあり、ここで結果を残せなければもう行くところがないという緊張感があったようです。結果から見れば十分なチャンスが与えられ、その緊張感を力に変えたわけですから良かった。最後は惜しまれながら、レンタル元に戻り、またそこで結果を残すという王道を歩むことができました。21歳で北九州に渡り14得点した端戸仁もこのグループに入れて良いでしょう。

では金井貢史はどうか。23歳のレンタルは若くも、遅くもない感じ。

結論から言えば、レンタル先が完全移籍であなたと契約したいと言ってくれたことは幸せなことだと思います。10代後半から年代別の日本代表に選ばれてきた金井は、マリノスユースの傑作だと今も信じています。ただ今なおドゥトラが不動のレギュラーであること、そしてドゥトラの引退を翻意させなければならない状態を招いたのも、金井です。

移籍先の鳥栖には同期の水沼宏太がいることもあり、すんなり溶け込めたでしょう。ただし、マリノス時代を下回るリーグ戦15試合出場は物足りないと言わざるを得ない。完全移籍に対して鳥栖サイドの躊躇もあったかもしれないです。それでも鳥栖は買いとってくれた。その重みを感じて、ぜひ来季こそ一皮向けた金井を見せてほしいと思います。マリノス戦にも、もう普通に出てくるんだなあ。完全移籍だから。

松本翔松本怜はどうしたらいいのか。同じ苗字でも境遇は異なります。翔は今年22歳、愛媛でわずか10試合出場で、このほどレンタル満了が愛媛から発表されました。希代のテクニシャン、まだマリノスでは厳しそうに思えます。J3の若手選抜か、J2でポップなサッカーをするクラブか、次はどこへ行く。

レイチェルこと松本怜は大卒で今年26歳。とにかく大分では怪我に泣かされました。まだリハビリ中で、しっかりと怪我を治してほしいです。12年シーズンは途中出場する機会も多かった選手で、ひょっとするとマリノスに戻るかもしれません。ですが2列目のレギュラー争いはイバラの道が待っています。

今年25歳で、レンタルとなる比嘉さん、間違いなく勝負の一年。大活躍することによってのみ、再びマリノス復帰の道が開けることでしょう。天野貴史もそうですが、やはり20歳前後のレンタルとは意味が異なるでしょうね。大活躍したらしたで、晴れて完全移籍の確率の方が高いかもしれないのですから。

誰が考えたのか、レンタル移籍。才能ある若者の悲喜こもごもを生み出しながら、あるいは才能が萌芽する瞬間を生み出しながら、幸せな完全移籍に繋がるのかもしれません。

マリノスでプレーする者はもちろん、それ以外のユニフォームに袖を通すトリコロールの血が流れている者すべてに幸が多からんことを。

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