忘れられるはずもない、背番号13の勇姿。金狼の比類無き1対1の強さよ。
守備の人から、膠着を打開するビルドアップへの進化。
天皇杯決勝での齋藤学のゴールをお膳立てしたのは小林の突破からでした。翌年のACLでは、アジア最強の攻撃陣を擁する広州恒大のムリキを封じる至高の対人守備が光りました。
さあ行け、小林、オー小林祐三。行くときは行く。されども、いつも右サイドには小林祐三。あるいはマリノスのセットプレーのチャンスで、中澤佑二やファビオらが自陣に不在の時こそ、小林祐三の狡猾なディレイ対応です。
在籍6年、左サイドバックが何人変わっても、スターティングメンバーで、GKの次、2番目にコールされ続けた小林祐三。
26歳でトリコロールに袖を通した気鋭のサイドバックは、今年31歳になりますが、衰えを語られるような年齢でもなければ、実際のパフォーマンスに低下もありません。少なくとも私はそう思います。
堅守をうたうマリノスの要であり続け、今季もここまで33試合のリーグ戦において出場32試合。そしてまだ後任の見当たらない、いや少なくとも日本国内に小林以上の右サイドバックなどいるものか。
3日の浦和戦、小林がプロ入りから一つの目標にしていた300試合出場達成。これが、リーグ戦としてマリノスで最後の試合になるなんてなんたる皮肉でしょう。
そして試合後、小林がツイッターで明かしたのは、「もうここ数日泣き疲れた」という率直なマリノスへの愛そのものでした。試合後のスタンドに挨拶する、深く目を閉じるその姿からも無念さが伝わってきました。
できれば、この退団は小林の希望であってほしいという思いははっきりと否定され、クラブが不動も不動のレギュラーを切ったという事実が残ります。
社長や強化スタッフが一新された今年。不透明で不可解な入れ替えと言っていいでしょう。何か純粋な戦力としての評価の他に人間関係の軋轢があったのでしょうか。
それでも前を向く小林祐三は、こうも綴りました。
まだ天皇杯がある
まだチームに貢献したい
残せるものがある
男の生き様として尊敬したい。
なぜこうなった?の思いは消えないけれども、まだ小林との戦いを終わらせたくありません。
エリク・モンバエルツ監督は浦和戦の前のロッカールームで小林のために戦えと檄を飛ばしましたが、天皇杯残り4試合、せめて小林祐三とともに元日まで、吹田まで行きたい。
シャイで仕事人というイメージのあった小林だけに、最後に見せたクラブやサポーターへの偽らざる愛が余計に重く感じます。
ありがとう、パンくん。
あなたのような素晴らしき、誇り高きフットボールプレーヤーを忘れないし、忘れられるはずもないです。まだまだ今まで以上の栄光があなたの人生に訪れますように、心から願います。
どこにいても、どこへ行っても、応援しています。
本当に熱い姿を、ありがとうございました。
<br>
皆様の1クリックが更新の大きな励みになっています。ぜひよろしくお願いいたします。
[{{image:520275,small}}](http://soccer.blogmura.com/f-marinos)