27日の開幕戦、タイムアップの笛を聞くや否や、私はゴール裏を去り、足早に駐車場へと向かいました。
何も不甲斐ない試合に腹を立てたからではなく、明日の早起きに備えるために。
その12時間後、日曜の朝、私は都庁前にいました。第10回東京マラソンのスタート地点に立っていたのです。
倍率11倍とも言われる抽選の結果、見事に当選、直前まで仕事の忙しさがピークで出走が危ぶまれるほどでしたが、凛とした気持ちでスタートの号砲を待ちます。
仕事を言い訳にはしたくありませんが練習不足は明らか。でも私は、第1種礼装、すなわち誉れ高きトリコロールの背番号10を身にまとっていましたから、体の底から力が湧いてくるのを感じていました。
マラソンを走ったことのある方、沿道で応援したことのある方はご存知でしょうが、ユニークな仮装をするランナーが結構います。
この日もドラゴンボールのフリーザやら、ジバニャン、ルパン、ナース服を着たオッさんなどに会いました。
好きなサッカーチーム、プロ野球チームのユニフォームはかなり多く感じます。
ただランニングウェア自体、派手な色合いが多いので、野球に比べるとサッカーのユニフォームは目立ちにくいかと思います。私が見つけた範囲では、広島、F東、浦和、川崎、松本山雅などを見かけました。
私の背番号10は、前日の開幕戦でおろしたばかりの今年バージョン。マリノスのユニフォームを着た人を、私自身を除いて最低でも6人見ました。全部で3万7千人のランナーがいましたから、この数倍はいたことでしょう。
去年のアデミウソンや、20周年モデルのドゥトラもいましたね。その他は。俊輔だった記憶です。
マラソンは余程のトップランナーでなければ誰かとの競争という意識は少ないでしょう。自分の決めたペースで走り続ける、自分との戦いです。それでも赤や水色のユニが近くにあると、どうしても前に行きたくなってしまいました。ま、声をかけたりはしませんがね。
レースは絶好の晴天ながら、やや気温が高くなったため後半キツくなる展開でした。東京マラソンの素晴らしいところは、銀座や浅草など都内の名所を走れる、しかも国道の車道をというコース設計と、なんと言っても途切れない声援のすごさです。
見ず知らずの方からこれほどガンバレと言われたことはなく、ハイタッチをかわした人数は100人ではおさまりません。
それに加えて、数え切れない方からかけられたのは「マリノス、ガンバレ!」という声でした。たまに日産がんばれ。あれ俊輔だ、俊輔がんばれ。
この声は本当に励みになりました。沿道の方からすると、前述したような仮装をはじめ、特徴のあるランナーは目に入りやすく、声をかけやすいだけなんでしょう。
数回マリノスのフラッグを持って応援していた方に会いましたが、それ以外はたまたまユニフォームを見てマリノスサポだと気付いてくれたのでしょう。そのたまたまが、どれだけ嬉しかったか。
あるいは、他サポの方でも、Jリーグ仲間のよしみか?、やはり、ガンバレマリノスと声をかけてくれます。そのなかには横浜FCや横浜ベイスターズの格好をして応援している人もいましたから、そんな方がマリノスを(厳密にはマリノスの格好をした私を)応援するなんて普段ではなかなか考えられないことです。
感謝の意を込めて、必ず手を振って、時にはありがとうございますと声をかけて声援に応えました。
しかし30キロ、35キロを過ぎると、だんだんと声援に応えることさえキツくなりました。でも出来る限りにこやかに、爽やかに、あなたの声が届いたよと手を振ったのでした。
最後は歩き出す人も少なくありません。36キロの登り坂の手前では、2014年の俊輔ユニのランナーが歩いていました。遅いながらもまだなんとか走っていた「2016年の俊輔」は、余計なお節介ながら見ず知らずの俊輔に、「もう少し!がんばろう!」と声をかけました。
「14年の俊輔」は一瞬の戸惑いの後、なぜ自分が声をかけられたかを理解し、笑顔で「おー!」と返してくれました。
やがてゴールは東京ビッグサイト。42.195キロを自己ベストの4時間33分(中の中というタイムです)で完走できたのは、それらの声援のおかげと心の底から思います。マリノスユニを着ていたからこそ、声をかけてくれた方たちに、この場を借りて深く感謝します。
完全に自己満足ですが、たくさんのマリサポが走っているのが宣伝になって、一人でも新たにスタジアムに足を運んでくれる方がいたら有頂天になってしまいますね。
次走は未定ですが、今後もマラソン出場の折には、トリコロールの背番号10で走るつもりです。布教活動って我が家では呼んでます。ああ、Jリーグって、マリノスって素晴らしい。…伝わりましたかね?笑
次なるユニフォームの出番は、当然、土曜の福岡戦です。
インフルエンザから復活を期す本物の俊輔は復帰がかなうでしょうか。待ちわびています。
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