漂っているこの空気感。寂寥感。
これが別れの予感というやつですよね。
クラブの選択は、最終節前に退団選手を発表しないことでした。
これが公式戦最終戦の我がマリノス、つまり明日でトリコロールのユニフォームを脱ぐ選手が少なからずいるのに、それを知らされぬまま、「今年一年、一歩タイトルには及ばなかったけれど、ご声援ありがとう」となるわけです。
そのフワフワした感じの居心地の悪さよ。この中の誰が退団するのか、それは連休明けの火曜日発表なのか、とか。
恐らく余計なことばかり考えなから観戦することになります。
ただまもなく知ることになるでしょう。スターティングメンバーの中でただ一人、この一戦を自分とサポーターの胸に焼き付けようとする決意めいたものを表情に浮かべる選手がいるはずだから。
ブラジルの至宝と言われ、鳴り物入りで入団したアデミウソン。初出場、初先発の味スタから、33試合。正式なリリースはまだですが、この試合をもってレンタル元のサンパウロFCに戻るのは確実な情勢です。
色々な驚きを与えられた彼との時間。ゴール前でのシュートの巧さ以外は間違いなく「本物」、その残り時間は、勝っても負けても90分になってしまいました。
体調は万全ではなさそうです。でも、年間を通じてマリノスに貢献してくれました。イカツイ風貌とは裏腹に、真面目に守備にも奔走するその姿に何度胸を打たれたことでしょうか。
ボールを受けた時の体感の強さと身のこなしの柔らかさで、フィフティのボールをチャンスにしてしまう。数的有利を利用するクレバーさも併せ持つ。
マリノスの2ndステージでの進撃はこの男なくしてあり得なかったし、またアデのフィットが深まるほどに彼のパフォーマンスはさらに上がっていたように思います。
来季、もう一年だけ。それは当然の願いでした。でも本来は、彼がいること自体あり得なかったんです。
サンパウロFCでは得られない出場機会を求めてきたのです。来夏の母国での五輪開催を控え、この1月に復帰すればまだ間に合う。その後の夢はビッグクラブ。
彼の志向とは合うはずもない、日本でのプレーそのものが奇跡だったと言っても差し支えないでしょう。
すなわち既定路線。残留を願う方が無理筋。
いつかこんな日が来ることも、きっと、きっと、きっと、分かっていたはずなのに。そう歌ったコブクロの歌詞が、肌にしっくりくる別れの予感。心を騒つかせます。
さて、ラフィーニャと喜田拓也、それに再び膝の手術を行う仲川輝人を除いて、全員集合。あっと驚く移籍があるかないか。あるいはエリク・モンバエルツ体制は来季も継続されるということでいいのでしょうか。
その辺りの人事問題は今は封印して、最終戦を勝ってきっちり終わりたいところです。
相手は松本。2月のAEDマッチのご縁から始まった今季ですが、残念ながら来季は再びカテゴリーが離れます。ものすごい人数が、日産に集結するということですが、お互い消化試合であっても、負けられない。
神戸戦で低調な出来に終わったマリノスですが、あと1試合、輝けるかどうか。俊輔の復調はあるか。
勝って終われよ、戦蹴楽。
せめて笑って別れよう。
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