中村俊輔の代名詞でもあるフリーキックだが、ついに2014年は直接の得点が生まれなかった。
ゴール前でのチャンスがそもそも少なかったのは事実。だが数少ないセットプレーを得ても、俊輔があっさりと壁に当ててしまいチャンスがついえてしまうシーンを目にすることもあった。
これは衰えなえのか、終わりの始まりなのか。そんな目に見えない不安があったことを俊輔が吐露した。
1月9日の「キックオフマリノス」内で放送された座談会の未公開映像がこのほどモバイル版の公式サイトで見られるようになった。
この座談会にはアンバサダーであり新MCの波戸さんと、富澤清太郎、飯倉大樹に加えて中村俊輔が参加。焼き肉屋で収録されたもようである。
放送では、俊輔が日頃から飯倉のアゴをいじり倒し、チームのムードを明るくしたり、富澤と俊輔の試合中におけるやりとりなどあまり知ることのできない表情が紹介されていた。
その未公開シーンとして、飯倉が一昨年の優勝争い時にはセットプレーが相手の大きな脅威になっていたことにふれ、波戸さんが昨年はチャンス数が少なかったと指摘。
その話を遮るように、俊輔が冒頭の「苦手なんじゃないか」「怖かった」と話し出す。
本当なら触らせもしないボールを蹴っていたのに、 簡単に弾かれる。年齢的なこともあるから、ヤバいんじゃないか。そう述懐する。
果たして俊輔は本当に衰えたのか。確かに言われてみれば、試合前の俊輔の姿が精彩を欠いたように見えたことはある。
アップを終え、シュート練習を経て、何回かプレースキックを蹴るのが通例となっているが、その時に首を傾げる回数も決して少なくなかった。何か微妙な感覚の狂いがあるのか、わたしもその姿に不安や物足りなさを感じたのは事実だ。
その感覚は戻るのか。
疑問と不安を打ち払うように、「このオフにバコバコ蹴ったんだけど」。
俊輔はボソリとそう付け加えた。もし、手応えが甦らないままなら、いくらチームメイトがいてもテレビカメラの前でそんなことを語るとは到底思えない。
その復活がなければ、今季の苦戦も免れないと思っている。俊輔の直接フリーキックによる得点は1点以上の価値がある。チームメイトにも、スタンドにいる我々にも勇気と希望をもたらす。
よし、このキックがあれば勝てるぞ。
元日のテレビでも我々は見た。美しい軌道が甦ることを、勝手ながら断言したい。
テレビで見たのはプレッシャーのないお遊びかもしれないが、私たちは肌がひりひりするような公式戦の緊張の中で、ゆっくりとアプローチする背番号10の凛々しさを知っている。
狙うのは右か、左か? 壁の何人目の頭上を狙う?
必死にボールを弾こうとする相手キーパーの指、その先を掠めて。
一瞬の沈黙の後に訪れる、歓喜。
それはテレビでは味わえない極上の喜びである。
ラフィーニャや学がつっかけて、相手がたまらずファウルを犯せば、してやったり。俊輔の出番だ。
座談会の段階では俊輔にもまだ確信はなかったかもしれない。だが、美しい俊輔のフリーキックが、今季、幾度となく我々を沸かせてくれることを確信する、そんな短い受け答えだった。
さて、今日は新体制発表会。
新しいエリク号の船出で、どんなビジョンが語られるか、注目しよう。
<br>
皆様の1クリックが更新の大きな励みになっています。ぜひよろしくお願いいたします。
<br>
[{{image:520275,small}}](http://soccer.blogmura.com/f-marinos)