明治大学は関東大学リーグ1部で、あの無敵の4連覇を果たした専修大に次いで2位。
しかも12/14からは全日本大学選手権に出場を控え、状況もクライマックスなテンションなのだ。
とにかく声が出ている。コースを切れ、○番をケアしろ、切り替えろ、ナイス! 彼らのほうが本気である。
リーグ残り2試合、目先の目標がないプロ選手よりも、少なくともメンタルコンディションはいいに決まっている。マリノスは病み上がりと、出番のない選手と、ユース選手ばかり。明治のほうが内容で上回るのは仕方なく、だから0-1で負けても何か絶望的なこととは思えない。
小椋は奪えない。中町のパスは届かない。富澤は連携がうまく行かずに苛立ちを見せる。俊輔はリスクを犯す気配もない。極めつけは藤田。彼にいたっては追うべきボールを追わずに天を仰いでいた。スタンドからも「さすがにそのプレーはあかんやろ」とため息を超えて、ひくレベルの凡プレー。
特に見所なく前半が終わろうとしていたが、マリノスにもただ一人、そんな雰囲気を許さない選手がいた。
センターバックで出場していた喜田拓也である。彼もまた、ケガから復帰して間もないが彼は常に飢えている。
[J-22 player's voice 明日への蹉跌 感謝と、意地と、悔しさと]
(http://www.j3league.jp/club/j22/voice/vol-003.html)
で、私は初めて彼のロングインタビューを読んだが、何という負けん気の強さ!
Q:デビューが遅いという言葉ですが、横浜FMのボランチの激戦状態を考えれば、仕方がない面があるのではないですか?
「そんな気持ちでしたら、たぶんサッカーはやめていると思います。去年なんて公式戦出場数0ですけど、高卒1年目だから試合に出られなくてもしょうがないかとか、まず身体をつくる時期だなんて考えた瞬間、やめますね。そんな気持ちが出てきたら、プロ選手をやっている価値なんてありません。そこで出られなかったのは自分の力がないからで、それはしっかり向き合って、何が足りないのかを考えながら前に進んで、取り組んできたつもりです。それが、徐々に形になりつつあるかなという感じです」
プロの選手、皆が皆こうではないことを我々は薄々知っている。いやテクニックはズバ抜けていても、致命的なほどにメンタルが弱い選手など、笑っちゃうくらいに多いだろう。そこにはJ1もJ3も大学生も、おそらく関係がない。
圧倒的に声量は明治が多い中で、喜田の声だけはよく響く。前線ですぐに俯いたり、空を見上げる選手には、時に励まし、時に厳しく。年齢なんぞ関係ない。
プレーでも引っ張る。最終ラインからボールを自分で運び、するすると前線へ。それもこの時間帯で味方を鼓舞したいという意図が伝わってくるのだ。
サッカー選手としてはかなり小柄だ。だが体の大きい選手に恐れなどないし、着実にはっきりと頼もしくなっている。
ところで、J2最終節のプレーオフ圏を狙うチームの中で千葉以外のチームは勝てなかった。もし、こんな選手がいたらそのチームはきっと強くなるはずだ。次のレベルになると、ドゥンガなどのように、もはや弱みを見せるような選手はピッチにいなくなるほど、周りに影響力を持ち始めるかも知れない。
ともに出場した和田昌士ら、期待のユース選手たちは、この喜田の姿勢から何かを学んだろうか。そんな未来の可能性が垣間見られたのなら、大学生との練習試合であっても、得るものは大きいのだ。
[{{image:520275,small}}](http://soccer.blogmura.com/f-marinos)
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