これほど悔しい試合はない。試合終了の笛とともに、赤のチームとサポーターが優勝を決めたかのように狂喜乱舞する姿を見ていたくなかった。
もし、浦和をボコボコにはできないまでも、足止めできていたら、優勝への苦しみを味わせることができたら、今季のフラストレーションは多少、解消できたかもしれない。
ただ中途半端に悔しさを晴らしたって仕方ない。また一つ、情けない結果を残した。その悔しさを雪ぐのは来年だ。もう、今は屈辱を貯めるだけ貯めて、マグマのようにエネルギーに変えるがいい。
決めるべき人がいない。トップだけの責任ではないが、相変わらずそうだった。あと一枚剥がせば、あと一本パスがつながれば。
そんな場面で、十分な仕事ができる選手がいない。伊藤翔、藤本淳吾、齋藤学、途中出場の藤田祥史。あるいは膝の打撲で早々に交代した中村俊輔がいたとしても、同じようにあと一手の崩しができなかったかもしれない。
佐藤優平や学の惜しい場面があるにはあったが、相手は日本最高のGK西川もいる。1対1に近い場面まで作れていれば…である。
この点、決勝ゴールの関根、19歳という選手がいたのとは対照的である。去年、マリノスが終盤に苦しんだ時、新たなヒーローの台頭が必要、それさえいれば優勝がグッと近づく、と書いた。あの時のマリノスになくて、今年の浦和にあるもの。それが関根という象徴的なピースなのかもしれない。
マリノスのモチベーションという点ではどうか。らしからぬパスミスや当たり負けのあった小林祐三のように、病み上がりのためか無難なプレーに終始した栗原勇蔵のように、この試合に戦う意義を見出すのは難しかっただろう。
ただそれは試合前から分かっていたことであるし、プロがそのような考えでプレーしていたとは思わない。だけれども、心の奥底では勝利への執念が、差となっていただろう。
経験豊富なベテランであればあるほど。
では気持ち以外に、浦和は強かったのか。後半こそマリノスのほうがチャンスが多かったにもかかわらず、一瞬のスキをついてそのまま1-0で逃げ切る。接戦をものにできるのだから強い、ということになる。
マリノスもたいがいだったが、浦和も勝ち点が欲しいのかどうかよく見えない、お互いがオッカナビックリのサッカーだった。
球際は激しいが、奪った後が遅い。武器を振りかざして、素手で殴る。
彼我の差を分けたものは、結局、気持ちと、切り札の適切な投入、最後に日産スタジアムにもかかわらず、あれほど紅く染まったスタンドということだろう。
モチベーションのことを上述したが、マリノスにも光明はあった。代表格が佐藤優平とファビオである。
タイトルにも書いた通り、「今、自分ができることを全力でやり遂げる姿勢」がマリノスに必要なことであり、来年の財産になることだ。
二人ともプレーヤーとしてこのチャンスを掴みたい、掴まねばならないというものが外部に出ていた。とくに優平は踏みつけられても、蹴られても、全力プレーを止めなかった。
ファビオのサボらない制空権は、後半、面白いようにボールを回収した。
少なくとも彼らは必死だった。私のように無責任に「早くも来年に期待」などと言えない。来年の契約を取り、ポジションを奪うために、その上でチームが勝つために。
彼らがうまい、ヘタの前に、戦える選手であることは、これからもこのような姿勢で示し続けなくてはならない。
すべての選手に同じハングリーさを持てと言うのは難しいと思うが、いいチームとか、いいサッカーのできるチームにとどまるのかの差がそこから生まれるとしたら。
結果を残せる、勝負どころで勝てるチームに昇華するのか。
目の色を変えてチームと自身を変えて欲しい。そのことを全力で続けるチームと選手にだけ未来は開けていると祈っている。
[{{image:520275,small}}](http://soccer.blogmura.com/f-marinos)
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