【保存版】中村俊輔がシャーレを掲げる

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シリーズ・何が起きたのか4〜ACLは毒薬か、成長の劇薬か。

ポポヴィッチ監督が解任された。時節柄、話題の少ないJリーグに珍しいニュースだ。我がF・マリノスは中断明けの2戦目、7月15日にヤンマースタジアムでのセレッソ戦を控えているのだが。これで、緊張は高まったな。

13位と低迷、ACLは16強で敗退というよりも、解任理由は、采配に一貫性を欠いたこと、選手批判と取れる言動でチームの一体感を欠いたこととある。[スポニチ](http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2014/06/09/kiji/K20140609008332080.html)

恐らく山口蛍をサイドで起用したり、柿谷のポジションをどんどん下げたり、あるいは「柿谷と南野は今日のプレーではW杯では活躍できない」と無用に選手をディスったり。というところが引き金だったように他サポからは見える。

お前んとこの成績も似たようなもんだろとか、ACLグループリーグで敗退だろ、お前んとここそ監督解任だ、とかいう意見はあるかもしれないが、その是非を問うことが今回の目的ではない。というか、思い返せば、樋口監督を解任せよという声は少なくともネット上にはたくさんあった。ただ一般的には、シーズン途中で監督を変えるメリットよりはリスクのほうが大きいと知られている。(今回のセレッソの場合は、継続による「チームへの悪影響」を重視したわけだが) 

結果が出なくて最も苦しかった時期、私の考えは、今監督を変えて余計な混乱を招くリスクを負ってしまうといよいよ残留争いに足を突っ込むのでは…という「消極的続投支持派」だった。すでにこのシリーズで振り返った、ノーゴールの蟻地獄にハマったのは4月だが。歯車が狂うきっかけになったのはACLの豪州遠征ではないかと思っている。

最大の理由は、移動距離がもっとも長いからだ。そしてグループリーグ突破に向けて必勝を期したが、試合は0−1で敗戦したショックも大きかった。この試合、マリノスとしては大きなチャレンジの試合だった。どこで計算は狂ったのか。

今季、マリノスが戦ったACL6試合の結果を簡単に振り返ってみたい。

2/26(水) アウェイ・全北現代 ●0 - 3

大宮○・清水○

3/12(水) ホーム・広州恒大 △1 - 1 端戸

徳島○

3/18(火) アウェイ・メルボルン・ビクトリー ●0 - 1

甲府●・鹿島●

4/2(水) ホーム・メルボルン・ビクトリー  ○3 - 2 伊藤、中町、兵藤

新潟△・仙台●

4/15(火) ホーム・全北現代 ○2 - 1 齋藤2

柏△

4/22(火) アウェイ・広州恒大 ●1 - 2 齋藤

F東●・浦和●・G大阪○・鳥栖●・川崎○

2勝1分3敗で勝ち点7、得失点差はマイナス3でグループ最下位だった。広州恒大の思わぬ躓きにより、最終節を前に4チームが同勝ち点で並ぶ大混戦となったが、終わってみればアウェイで3戦3敗。これではグループ突破はままならない。痛かった試合は、広州恒大に勝てたはずが1−1で引き分けに終わったホームでの第2戦と、勝たなければならない相手だったメルボルン戦(アウェイ)だった。

メルボルン戦は移動距離だけで言うと、罰ゲームのようであり、ではACLが罰ゲームかと聞かれたら、大いにチャンスであると答えたい。

メルボルンでのスターティングメンバーは、

GK 1 榎本 哲也    DF 13 小林 祐三    DF 4 栗原 勇蔵

DF 15 ファビオ    DF 24 奈良輪 雄太

MF 26 三門 雄大    MF  6 小椋 祥平    MF 20 佐藤 優平

MF 11 齋藤 学    FW 9 矢島 卓郎    FW 17 端戸 仁

まだリーグ戦のボランチといえば、富澤と中町に固定されていた頃の話なので2トップの人選を含め、画期的なメンバーだった。なお、この遠征に、俊輔、中澤、伊藤らは帯同しなかったのはこの後のリーグ戦をにらんで、遠征によるダメージを避けたいという意図だ。

立ち上がりの中盤でのトラップミスを奪われたところからカウンターで1点を失い、80分以上が追いかける展開だった。特に後半はボールを持ち続け、攻め続ける展開となった。後半から出場した藤本淳吾フリーキックがバーを叩くシーンもあったが、ゴールを予感させる場面が多かったとは言えず。また、頼みの綱、と言ってもいい齋藤学の個人技は不発だった。

マンオブザマッチは、敗戦にもかかわらず、佐藤優平が選ばれる。ものすごい運動量で、攻撃を組み立て、一番目立っていたのは確か。

このチームでもしも勝っていたら。

控え選手たちは大きな自信をつけて、凱旋していたことだろう。その自信は、居残った主力選手にも大きな刺激となり、またチーム全体に競争と、明るさをもたらしたことだろう。この後のリーグ戦の苦闘を予期させるような0-1の敗戦だった。もちろん、メルボルンは10回やって9回勝てるような簡単な相手ではない。けれど、間違いなく勝てるチャンスはあったし、勝てばチームは進化していた。

ボランチの小椋と三門の組み合わせはこれがきっかけとなり、後のリーグ戦でもコンビで先発する目処となるなったが、端戸や佐藤はここからしばらく試合出場できない日々が続いた。単なる戦力比較の問題とともに、移動でコンディションが狂ってしまったのだろうか。

あくまで個人的には、そこまでの負担なのかな?という感想を持っていた。欧州や南米から移動しているわけではなく、現在の欧州リーグにいる日本代表、例えば若かりし中村俊輔はしょっちゅう、飛行機での移動を繰り返し、それでもコンディションを整えていたから。

だが広島の豪州後の様子、川崎の韓国から帰ってきた後のマリノス戦。皆、ひどいデキだった。なまじラウンド16に進んだクラブのほうが、先に敗退したマリノスよりも疲労の度を深めたのは、事実としてあるだろう。言い方を気をつけなくてはならないが、「早く負けて良かった、どうせ負けるなら」となってしまう側面はある。16強に進んで得られる賞金だって多くはない。

とすると単純計算ではメルボルンの地で勝っていたら、マリノスも16強進出していたことになるがそれが良かったのか。

でも記事タイトルにあるような毒薬だとばかりは思えない。間違いなく、アジアの強豪と真剣勝負をする非日常な試合から得られるものは大きい。若手にも与えられるチャンスは増えるはずである。

ただ生兵法は大怪我のもとというのも感じた。アジアで戦うにはそれなりの覚悟と後ろ盾が必要だ。具体的には、リーグとACLを両方並行して戦うだけの選手の質と、層の厚さ。そしてもちろん、クラブとしての腹決めだ。それがなかりせば、ACLは早期敗退、リーグ戦も低迷という単なるピンチになりかねない。

チームとしては個々が成長する大きなチャンス。日の丸を背負っている意味は小さくない。サポーターもあの独特な雰囲気は、燃える。バイリンガルのアナウンスもいい。日産スタジアム横国に名前が変わるのもたまにはいい。

またあの舞台に戻らなくては。そのためにも、リーグ戦での巻き返し。いよいよ明日からチームが再始動。

[{{image:520275,small}}](http://soccer.blogmura.com/f-marinos)

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