【保存版】中村俊輔がシャーレを掲げる

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シリーズ・何が起きたのか3〜ワースト試合からベスト試合まで。どちらが本物?

リーグ2位、天皇杯優勝のマリノスに一体、何が起きたのかを巡る回顧録において触れざるを得ないターニングポイントがある。

足が動かなかったゲームのことではない。衝撃的なゴールを奪われ、逆転負けを喫した鹿島戦ではない。ほぼ決定機を作れないまま、千載一遇の俊輔スルーパスを伊藤が決められなかった新潟戦でもない。

開幕3連勝で迎えた、第4節甲府戦が忘れられない。0-1、アウェイの中銀スタジアムで甲府は今季初白星となった。前半のシュートはゼロ。後半もわずかに4本。決定機と呼べる場面は皆無だった。カウンターを警戒するあまりに、ボールロストを嫌がり、そして誰も仕掛けないというまさかの両チームによるアンチフットボールを見せられた、あの試合。実はその後のコンセプトの迷走に繋がったのではないか。

チームは迷走したが、あまりの虚脱感に甲府から世田谷の自宅まで信じられないほど早く爆走し、帰宅したことを思い出す。

あの試合、何が起きたのか。

甲府はあの日、3月の割りには日差しが強く、気温が高かった。17.8度、湿度12%という初夏の陽気の記録が残っている。

試合後に「狭いスペースでわざわざ無理なダイレクトプレーを繰り返して、こちらが先にミスをしてカウンターを食らう。これは樋口監督の言葉だったと思うが、それ以上の工夫がなく、できるだけ「サッカーする時間を減らそうとする」相手を崩すことができなかった。」と当時のブログには書いてある。

開幕3連勝時と違った点。

①週の半ばに豪州で試合をして、帰国後すぐの試合だった。俊輔、中澤はこの遠征に帯同しなかったが、彼らも含めて体が激重だった。

②スタメンが怪我の藤本の代わりに兵藤、齋藤学の代わりに佐藤優平だった。ボールは保持できるし、中盤で奪う力もあるが、極端に打開力が減った。持つばかりで攻めこめない原因の一つになった。

③未勝利の甲府がなりふり構わずに自陣を固めてきた。最終ラインが5名、その前に4名とブロックを形成し、守備を固めてきた。②の理由と重なり合って、それを崩す力がマリノスにはどうにもなかった。

焦れないことと、仕掛けることはどちらも大事。だが、焦れないでリスクを侵さずにやることに意識がいかなかった、そのイメージが共有できなかったと樋口監督は試合後に総括にした。どこで仕掛けて、どこで我慢するのかが共有できていない??それはマズイ…。この試合がひどかっただけではすまなくなる?

と思っていたら、次節の鹿島戦では、1点リードで迎えたにもかかわらず、後半に3失点してしまう。これも柴崎らのプレーが素晴らしかったとはいえ「共有」の問題があったかもしれない。

その後はぎこちなく、チグハグな試合が続いた。得点の香りがほとんど漂ってこない。4月の中には、齋藤学のファインゴールで全北をくだした試合もあったが、とにかく迷宮入りしてしまう。遅れ馳せながら、樋口監督がターンオーバーとして、頻繁に先発選手を変え始めたことも混乱を大きくした気がする。

月は変わって5月のG大阪戦でようやく2得点し、勝利。ところが次戦、鳥栖に早々に2点を奪われてしまう展開で敗戦。確かにせっかく連敗を止めた後だけに、堪えた。あのとき、「内容は悪くない」という監督や選手の声に少し苛立った人もいるのではないだろうか。私はそうだった。

そして、等々力。去年の最終節の地だ。あまりいいイメージが持てなかったが、3-0での勝利。川崎のコンディションが予想以上に悪かったことを差し引いても、マリノスの攻守は良かった。

似ているようでだいぶアプローチは異なるが、高い位置でボールを奪いショートカウンターも見せる。縦へのくさびパスも最近の中では多い。学の意外性のある動き、得意なセットプレーなど、長所も出た。

そして、俊輔と淳吾が万全なら楽しい。ピッチの選手も楽しそうにプレーしているように見える。俊輔自身がサイドで窮屈そうにプレーしているより、素早く、鋭い攻撃も飛び出す。

もちろん川崎の受け方がハマったというのもあるだろう。リードされた展開で守勢に回った相手をどう崩すか、の課題は解決していなかった。

果たして、マリノスは強いのか、否か。どの試合が真の姿なのか。なんだか分からないまま、開幕からの2ヶ月半が終わってしまった感じはある。

だからこそ、この中断期間がめちゃくちゃ大事なんだ。コンディション向上、戦術の整理、メンタルのリセット。あのまま、戦いが続いた場合よりも、我が軍にとってのメリットは大きかったと思っている。

崩す力が、術が欲しい。固められた守りをこじ開ける瞬間こそ、興奮する。逃げるものをじわじわと追い詰め、仕留める。

そんな強いマリノスが見たい。

何が起きたのかシリーズ、次回は興奮と混沌のアジアチャンピオンズリーグを振り返ってみたい。

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