未勝利のまま、クビだって?いいじゃないか、故郷(くに)に帰れるんだから。競走馬だったら刺身にされてるところだよ。
なるほど、競馬に比べれば、サッカー監督は気楽な稼業と来たもんだ!
そう言われてみれば、強豪のガンバをたった2ヶ月でガタガタにし、J2降格の大いなるきっかけを作ったセホーンは、今年もブラジルで監督業を続けている。
あるいは、J2からなでしこ、3年間、3チームに渡って30戦未勝利という金字塔を打ち立てた前田浩二氏。まさに無敵、3年間で2敗だったINAC神戸が、開幕連敗中。つまりわずか2戦で3年分の敗戦記録に並んだわけだ。28戦勝利なしだった彼に任せようというオファーがあること自体すごいと思う。(ちなみにセホーンをガンバに招聘したのと、前田に声を掛けたのが同じ人物。)
監督は水ものだ。うまく行かなきゃ、コロコロ変わる。
「アーノルド、監督やめるってよ」くらいのもんだ。仙台のアーノルド監督解任と、後任に渡辺ヘッドがつくことが発表された。17位、公式戦8試合未勝利。まさかの順位と言っていいだろう。上記のレジェンドと比べても仕方ないが、やむを得ない解任だと思う。
ただ、まったく人騒がせなタイミングである。
「どうせ辞めるならマリノスとやってからにしてくれよっ!」土曜に仙台と対戦を控えるマリノスの樋口監督はそう嘆いた。監督が代わればやり方が変わる。これまでのスカウティングが無駄になるかもしれない。
昨年の監督交代の思い出、まずはなんといっても柏レイソルのネルシーニョ監督の「辞める辞める詐欺」だ。結果から言うと、監督は交代しなかった。辞める!とネルシーニョが言い、柏の選手が奮起した。ネルシーニョはしれっと数日後にチームに帰ってきた。マリノスはただ騙され、踏み台にされた。その結果が、ナビスコ杯準決勝、日立台で悪夢の0-4。
また大宮のベルデニック監督の解任騒動も、私たちにとって苦い思い出だ。快進撃していた大宮が5連敗したところで監督交代。その後小倉勉新監督は連敗を8まで伸ばすも、在任期間中の数少ない白星、それも初白星をプレゼントしたのがマリノスだった。
さらに磐田の森下監督解任の直後にはナビスコ杯の予選で対戦。長澤監督代行が指揮をとっており、結果は3-0だったが後半なかばにマルキーニョスが決めるまではまったく安心できなかった。
かくいう2年前、樋口新体制で全く勝てないマリノス、私はもうじきクビになるのだと思っていた。いや、早くクビにしろ!と言っていた。樋口監督は結果的にはシーズンを4位で終え、翌シーズンには天皇杯のタイトルをもたらしたのだから「残して正解」と言わざるを得ない。
監督交代は劇薬などというが、去年の途中で監督が代わったのは、磐田と大宮。2012年は、神戸、ガンバなど。大宮は前半戦の貯金にモノを言わせたが、他は皆降格している。
監督交代して、立て直した!などという例は少なくともJではあまり聞かない。気楽な稼業などと冒頭で書いたが、やはり能力の差がはっきり出る、成績が出なければ自分だけでなく選手も路頭に迷わせてしまう責任を負う、過酷な職業だ。
有能な選手がどれほど揃っていても、監督がアホな場合、またアホならアホでころころ変えればいいやと経営者が思っている場合はダメである。
土曜日に新生ベガルタと対戦する。もともとは力はあるチームなのだから、開き直られたらやりやすいはずはない。
どこかで掛け違えてきて、気がつけばひとつ余ったボタン。それが今回のアーノルド。
同じようにして誰かが持て余したボタンホールに出会うことで意味ができるならいいと、桜井サンも歌ってる。
監督交代なんてプロサッカーを楽しむための1つの塩コショウに過ぎないのさ。
だいたいにおいてコショウをふりかけたヤツがくしゃみする。こっちはスパイスの効いた牛タンを楽しむくらいの気持ちで行こうぜ。
http://soccer.blogmura.com/f-marinos
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