【保存版】中村俊輔がシャーレを掲げる

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中澤佑二を支持する理由

門であり、壁であり、時には鬼である。

中澤佑二のプレーを見ると、「リアル」を感じる。閃きとか創造を武器に戦ってきたのが中村俊輔だとするならば、佑二のプレーは肉体そのものである。弾き返す。門となり、壁として立ちはだかり、逃げ切りを図る展開にあっては鬼と化す。

プレースタイルは36歳となった今も変わらない。まずそのことが驚くべきことだ。強靭な肉体と精神を持ち合わせて、立ちはだかり続けて、早幾年。00年代に日本の最高峰のセンターバックと呼ばれ、その頃に共に戦った守備陣の仲間は多くが第一線にはいない。

彼の存在が大きいがあまりに、マリノスでも後継者と目された選手はポジションを奪うどころか、チームを去らざるを得なかった。代表でのキャップは史上4位の110試合、J1出場数も今季の5試合を含め、史上6位の440試合に到達している。

日曜深夜に放送された「Get Sports」での特集では、ブラジルW杯のメンバー入りを熱望して、日々同じトレーニングを欠かさず続ける佑二のすごさを伝えている。

何度も何度も映像で出てくるのは、チューブトレや坂道ダッシュ、室内での下半身への負荷運動と、徹底して足腰を苛め抜く佑二の姿だった。

30歳を過ぎてパワーとスピードが衰えやすくなるから、そうならないように。

代表に呼ばれるためだけにやってるわけではないと前置きした上で、「いつそんなチャンスが来るかはわからない。そのチャンスを掴む用意だけは毎日欠かさずやっている」

プロを目指して高校卒業後にブラジルに渡り、帰国後にヴェルディ川崎でデビュー。リーグを代表する選手に駆け上がり、代表でも欠かせない選手に成長したサクセスストーリーは有名だ。

今こうして一日も欠かさずにストイックなトレーニングを積むようになった原点はブラジルにあった。プロ契約を勝ち取った佑二だが、わずか一年で解雇されてしまう。そこで学んだのは「家族とかいろんなものを背負いこんで、命がけでサッカーに取り組むこと」

だからこそ、自分の原点であるブラジルで開催されるW杯を目指し、代表としてのキャリアの集大成を見せたいと思っている。

けれども2010年の秋の怪我以降、すっかり代表からは離れてしまった。現状で逆転選出の可能性はさほど高くない。だからと言って、手を抜く理由にはならない。

2014年も天皇杯の決勝で自らゴールで優勝した、翌々日から始動し、負荷を落としながらもいい状態をキープし続けることにしたという。「スタートラインにも立てていないので、同じことをやっていては他の選手に追いつけない」 その狙い通り、3月からフル回転で出場しており、ただただその日に向けて備え続けている。

ではブラジルに行けなかったらどうするかって? それを今、考えるのはどうでもいいことだ。夏以降、佑二の緊張の糸が切れてしまわないかって? 過去のW杯終了後も、気持ちの整理をつけてきちんとリーグでハイパフォーマンスを発揮してきたから、それは心配無用だろう。今も果敢にラインを上げて、後ろのスペースを開けるリスクをぎりぎりまでとった上で、勝負している。

スピードやパワーが全盛期ほとではないとしても、「集中力」はさらに研ぎ澄まされている。勝負勘と言ってもいい。

去年は、「35歳でも、毎日のルーティンを欠かさないことによって、元気にこれだけプレーできると証明できたから良いシーズンだった」という。おそらく、36歳になっても自分に妥協しないその思考は変わらないだろう。

もし周りに「ブラジルなんか行けるはずがない」と断じる声があるならば、それは留学してプロになることを否定した、高校時代の周囲と変わらない。充実する心技体を見ていると、W杯メンバーにこの男が選ばれたとしても彼の姿を見てきた人は、驚かないのではないか。あぁ、やっぱり必要だよね、と。

被災した東北の子供たちとのサッカー教室で、子供たちも言っていた。「中澤選手なら代表に戻れると思う」「戻って欲しい!」と。

中澤佑二の前に道はない。ただ、中澤佑二の後ろに道ができる。そうやって生きてきた。

俺たちが声援でその背中を押せたらいい。

http://soccer.blogmura.com/f-marinos

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