【保存版】中村俊輔がシャーレを掲げる

スポナビブログの閉鎖に伴い、引っ越し。無くなっちゃうのは忍びなかったのでアーカイブです。基本、更新はしない予定

マルキーニョスを忘れない

早い弾道でも、その軌道を強靭な肉体が変える。ボールはやがてゴールネットにゆっくりと包まれる。いつもマルキの奪うゴールは繊細だった。

マリノス在籍の2年間で69試合出場37得点の大功労者。ゴールを奪うセンスと意欲の塊であると同時に、勝利への意欲もまた一流。

話はシーズン前に遡るが、宮崎での合宿中に主将・中村俊輔の部屋を訪れて、今年、本気でタイトルを取りたい、お前らは取りたいのか?と迫ったというエピソード。鹿島で3連覇に貢献した、これぞ勝者のメンタリティをもつ男ならではだ。

マリノス復帰1年目には怪我に泣いたが、今年は開幕の湘南戦で2得点。2戦目の清水戦にはハットトリックを達成し、チームの開幕ダッシュに大きく貢献した。

ナビスコでは予選から得点を量産して、7ゴールで得点王を獲得することになる。同じころにマリノスサポの心を捉えて離さなかったのは、試合中に突如として行われる靴ひもを結ぶ作業だ。前線にいたはずのマルキの姿を我々観客が見失うと、彼はたいていピッチにしゃがみこんでいた。靴ひもを調えているのか、心を調えているのか、それは彼にしか分からない。

夏場に調子を上げ自己最長記録に迫る6試合連続ゴールも記録したが、なかにはあのバイシクルが含まれる。真夏のニッパ球で鳥栖を迎え撃った一戦、1-1で迎えた後半20分過ぎ、藤田が競り勝ったボールがふわりとマルキーニョスの頭上へ。上下反転したマルキがズドン。一言で言えばスゴイゴールだった。

優勝を意識して、チームが浮き足立っていると感じたのか磐田戦の前には、

ミーティングで喝を入れたそうだ。

ゴールという結果でも、戦う姿勢を示すという面でもチームを引っ張ったことは間違いない。

だが彼は、リーグ最終戦とともにチームに別れを告げた。契約満了の1月1日を待たずに退団を決めて、去ったのだ。

よくも悪くも、彼は傭兵であり、世界中のどこでも足一本で銭を稼ぐブラジル生まれのサッカー選手であった。

マルキより3歳年上だが、1月1日まで残ると宣言し、Jリーグアウォーズに堂々と登場した不惑ドゥトラが、マリノスに対してコミットしているのとは対照的に。

その去り際、去り方には否定的な意見もあるだろう。ここまで貢献してくれたからこそ、腑に落ちない思いがある。なぜ今なのか。

また来年、アジアを戦う上で彼のような勝負強いストライカーがいないのは大きなマイナスだ。マリノスとしては当然補強も考えなくてはならない。

再来日の折に、彼は関空に降り立つことだろう。報道通りなら、日本で7クラブ目となる神戸への入団となる。白黒のユニフォームを着るマルキを想像しただけで少し残念だ。

だが言うまでもなく、少なくとも天皇杯は残されたメンバーでの戦いとなる。マルキがいなくなったから、負けたなど許されない。というよりも藤田、端戸仁佐藤優平らには大きなチャンスが巡ってきた。最大で3試合、来季のレギュラー争いを大きく占うと考えると、彼らの活躍が最注目のポイントとなるだろう。

マルキーニョスは偉大だった。ありがとう。ララララララ。あなたのことを忘れることなどできない。

だが、もういない。「次のエース」という大きなポジション争いが始まった。

勝ち残るのは、誰だ。

http://soccer.blogmura.com/f-marinos

ランキングに参加しています。クリックしていただけると、大変励みになります。