【保存版】中村俊輔がシャーレを掲げる

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【J1 ラスト3】気迫のトリコロール、一気に優勝に王手。〜第32節・磐田戦(ヤマハ)1-0

速報を携帯でチェックする度に思い出したのは、「ダチョウ倶楽部」だった。

浦和、広島、鹿島などが「うちが優勝する」「いや、うちが優勝するよ」「いやいやうちが」と言い合っている。そこにおもむろに、マリノス上島竜兵よろしく、「じゃあうちが・・・」と言ったら、一斉に「どうぞ、どうぞ、どうぞ!」と言われるあの感じ。

そこまで譲っていただいて、恐縮な気もする。

リードされていた浦和が、アディショナルタイムに決定的な3点目を奪われた!

あっ、広島は決定機を外し続けて0-1で敗戦!

なんと! 追いついたはずの鹿島が、鳥栖に勝ち越しゴールを許した!

さすがにもうないと思った。期待しないわけではなかったが、虫がよすぎると邪念を振り払っていた。

が、描いていた最高のストーリーが現実になった。

もうこうなっては、先に順位表を掲げさせてもらう。

J1 第32節終了時順位表

┏━━━┯━━┯━━┓

┃   │勝点│差 ┃

┠───┼──┼──┨

┃①横M│62│21┃

┃②浦和│58│16┃

┃③広島│57│19┃

┃④C大│56│19┃

┃⑤鹿島│56│ 9┃

前節の2位〜4位までがそろって敗戦し、マリノスが勝利したために2位との勝ち点差が4に開いた。次の33節が終了した段階で、2位との勝ち点差が4以上あれば優勝となる。したがって、マリノスは次節のホーム最終戦となる新潟戦で勝てば無条件で、9年ぶり4度目のリーグ優勝を果たすことになる。

(引き分けや敗戦でも、他会場次第で決定)

浦和の柏木は「なんとかACL出場権を確保したい」と憔悴した表情で敗戦宣言をしたらしい。客観的に見ればその通りだが、白旗を自らあげていただけるのは大変に助かる。戴冠の瞬間はもう目前まで迫っていることは誰の目にも明らかだ。

朝7時半に家を出て、友人一家をピックアップして海老名までの渋滞に巻き込まれた上でヤマハに着いたのは11時半過ぎ。帰りは足柄SAでチームを乗せたバスと奇跡の遭遇し、大いにはしゃいだ。その後、30kmを超える渋滞のために、帰宅は23時半頃だった。さすがに疲れた。疲れたのだが、今なお大興奮で、とてもゆっくり試合の内容など書いてはいられない。帰り道、iPadで試合の振り返りを行ったが、テレビ観戦してた人のほうが一つ一つのプレーをよく見ていることだろう。

はっきりしているのはマリノスのプレーが素晴らしかったという点だ。また民衆の歌の大合唱は、ホームのような雰囲気を選手に伝えたはずだ。試合前に、みんなですっごい練習したしね。スタジアム周辺を通りがかった一般の磐田市民がひくぐらいに。

だが中澤佑二の気迫ゴールに興奮してしまったため、記憶していた試合のディテールがだいぶ抜けてしまった。なので僕の記憶が事実から書き換わっていたらごめんなさい。

2点目が取れたら楽になる。だから攻めるのか、いや1点で十分だから守るのか。選手間の意識のズレから生まれるチグハグさがピンチを招くことがあるが、この日のマリノスでそうした隙は得点後数分間の本当に僅かなものだった。ピンチらしいピンチを作らず、ボランチに戻った中町の奪取は冴え渡り、ドゥトラのビルドアップ、左サイドをつく桂馬のような動きは120分の試合から中2日とはとても思えない。

齋藤学の本当の怖さは成りを潜めていたが、休み明けのエンジンのかかりが遅いのはしかたない。その中で、相手DFのチャージを睨み返す攻撃性を随所に見せる。

兵藤と小林祐三天皇杯の疲れはあったが、いい連動を見せて、決定的なチャンスも作った。ほぼフルに一年間、右サイドの安定をもたらしてきた二人の関係は大きな武器である。とくに兵藤の復調は本当に大きい。小林は相手の対応(安田など)に手を焼いた時間もあったけれども、それでも右サイドでちぎられることはゼロだったし、嫌なクロスを許すことすらなかった。

前半に二回ほど、不可解なファールを取られた栗原勇蔵だったが、過度に熱くなることなくセルフコントロールした。終始、磐田に「誘い出される」ことなく、自ら選んでピンチの芽を摘む姿は頼もしかった。

激昂という点では榎本哲也ゴールキックになるはずが相手のCKと判定されたことで、主審に異議をとなえて警告を受けた。プレーが熱くなるとともに、ハートまでが熱くなっていた瞬間だが、気持ちを切り替えて、危なげない完封に貢献した。

とくに楽しんでいるように見えたのは、久々に90分の中盤トライアングルを形成した富澤清太郎だったろう。今更、守備での安定感を語る必要はないし、押される時間が少なかったから最終ラインまで降りる機会もそこまで多くはなかった。それでもセカンドボールを制圧できるのはこの人がアンカーだから。攻撃時には、後ろから走り込んできてミドルシュートを放つ。惜しいのが一本あった! セットプレー時のヘディングも相手の脅威になっている。

中村俊輔はまだ本調子ではないはず。それでもあれだけの動きを見せ、多くの選手が俊輔がそこにいる安心感を口にする。彼が再度離脱しない限り、マリノスの視界が曇ることはない。

そして決勝点の中澤佑二。得点を期待されるポジションではないが、今季初得点は遅すぎるくらい。試合後のヒーローインタビューも「決勝点をあげた中澤選手」と紹介されるが、今のチームで優勝したい、若手に優勝させたいという彼の熱い気持ちはたった一つの得点では表せない。黙々とチーム最多時間出場のこの男があまりクローズアップされてこなかったところに、マリノスの今の強さがある。

僕の目の前で起こったマルキーニョスがコーナーアークで時間を稼いだプレーにもふれておきたい。二度、マルキはボールを隠すように、全力で踏ん張った。一度目は2人だった磐田の守備が、二度目には3人になってマルキからボールを奪おうと必死になる。強靭な体で塞がる姿に感動するとともに、弾みでズボッと抜けたコーナーフラッグを直そうとするマジメさ?に客席は大いに沸いた。しかも、うまく刺さらなくて結局、フラッグを投げ捨ててプレーに戻るマルキがかわいすぎるのである。ゴールはならなかったが、守備での貢献は高いし、ポストを受けたり、サイドに流れたり、よく走ってくれた。

磐田と比較して、何が違うのか。今回の対戦で言えるのは、「降格が決まって、ようやく重圧から解放され本来のプレーができるチーム」と「優勝を自ら掴むために、重圧と正面から向き合い、気迫を倍加させて戦うチーム」の違いではなかったか。最近の試合、勝負どころにおいてマリノスには1−0が多く、磐田には0−1が多かった。気迫がすべてではないが、ちょっとした差で0−0は1−0にも0−1にもなりうる。その積み重ねが、両チームの間には大きく隔たりとしてあったと思う。

前夜、マルキが呼びかけたという選手ミーティング。「俺達はまだ何も成し遂げていない。この試合をしっかり勝つにはメンタルが重要だ」 「120分戦ったとか関係ない。お前らは若いだろう。だから走れ」そう言ったらしい。http://www.soccer-king.jp/news/media/jsk-news/20131123/150239.html

マルキにそう言われたら、誰だって走るでしょう。ドゥトラが「ワシも若いで」と言ったかどうかは定かではないが。誰もがこの話し合いで結束が強まったと言っている。試合後に、スタンドに向かって多くの選手がガッツポーズを作ってみせた。そんな姿は今までになかったほどだった。気持ちが入っていた。

トリコロールはこのように勝つべくして、勝った。そして気がついたら、ライバルたちがたまたま負けていた。一気に決めるチャンスを逃す手はない。いよいよホーム最終戦だ。

5万人、6万人と入るスタジアムにしたい。そこで、みんなで歓喜の涙を。

俺たちがチャンピオンになる。

http://soccer.blogmura.com/f-marinos

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