【保存版】中村俊輔がシャーレを掲げる

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我が軍らしい気持ちの込もった守備と、残りは決めるだけだった後半の攻撃〜第28節・甲府戦(中銀)

東京はずっと雨だった。高速に乗ってもそれは変わらないのに、笹子トンネルを抜けると、雨は止んでいた。湿度はあるが、気温は涼しくまずまずのコンディションだろう。

スタジアムの場外では富士宮焼きそばが早々と売り切れそうだ。が、それは日産でも売ってるからと見向きもしない。鳥もつカレー、肉巻きドッグ、ホルモン焼うどん。味が濃く、油も濃く、B級満載のスタジアムグルメを満喫する。甲府まで出かけて良かった。そんな話で始まる甲府遠征。

入場まで30分は軽くかかったから、腹を空かせた親子が食べまくる。試合前にすでに2〜3点は取った気分だ。

そんな動きの重い我々家族をあざ笑うような序盤の甲府の猛攻に、びびる。甲府は試合のスタートに慎重になることなく飛ばしてくる、したがって最初の15分間が時間帯別では最も得点が多い。でもそれを知ったのは試合後のことだったから、この段階では予想外に甲府が前線からプレスをかけてセカンドボールを拾ってくるのにびびっていた。 1分の榎本のビッグセーブがなかったらもっともっと苦労しただろう。

ちなみに現地ゴール裏から見た前半は細かいパスミスが多く、また相手のブロックをどう崩すのかという工夫に乏しかった。今季の最悪の前半だと思った。しかし、帰宅後に録画をみると決してそんなに悪くない。ボールが足につかない場面もあったし、マルキも学もトップコンディションでない中では単騎で切り崩せないのは、やむを得ないだろう。

それよりも気になったのはセカンドボールを拾えないことだった。中町と小椋は前に奪いに行くタイミングをやや譲り合ってるように見え、結果としてどちらも持ち味を十分に出せてないように見えた。栗原と中澤はこの日も安定的に縦のボールを跳ね返すのだが、それを拾ったドゥトラや小林が孤立することも何度かあった。これが、甲府の時間が長くなってしまった原因だろう。キープ力とボールの奪取力を比べれば、本来はマリノスの方が勝っているだろう。

後半の入りはマリノスが積極的に得点を取りに行く流れだ。清水戦でのキックオフ時と同様に、俊輔はいきなり学を走らせて、青山と柏の間を狙う。53分には学が倒されて左のペナ角そばからフリーキック。中町がちょろっと動かし、兵藤が止めたところに俊輔が走りこみ、壁の裏をかいたが惜しくもサイドネット。俊輔の口が「もったいねー」と動く。

だがその後もなかなか中盤が制圧できず、前線でもボールが落ち着かない。マリノスが本当の意味で形を作れたのは、中町→藤田投入で2トップにした75分頃から。ただし、もっと前半からボールを動かせていれば相手がガス欠していたかもしれないがまだまだ元気だったのも甲府の時間が長かった影響があるように思う。

ララ、ラララ。藤田、男なら、今日決めろ。前週に仙台でも歌われた歌声が藤田の背中を押す。チャントらしからぬメロディーだと思ったが、愚直な歌詞と、切実な旋律は今の藤田に相応しいのかもしれない。その藤田の動きが素晴らしい。相手を惑わすフリーランニングで次々にスペースが生まれ、学や兵藤がそのスペースに侵入。藤田の影響でさらにマルキも息を吹き返す。

ゴール前にDFともつれるように走り込んだ藤田のヘッドは枠外。藤田が競り合ったボールがフリーの兵藤の前にこぼれたが、兵藤が浮かせてしまう。

さらにはアディショナルタイムに、藤田が左サイドでDFを振り切って、ペナ中央のマルキにラストパス。1対1だったがGK荻に弾かれ、再度藤田がボレーを打つもこれも荻の正面へ。アディショナルタイムが表示の3分を過ぎてからも、マリノスに2本のCKが与えられたがものにすることはできなかった。

この最後の時間帯がもう少しあれば決め切れた気がする。そういう意味で、樋口監督は試合後に勝ちきれなかった思いが強いと語ったのだろうと思う。もう一度ゲームを振り返ったあと、思ったのは甲府に迷いがなくて強かったという印象。勝ち点1取れて良かったということだ。ますは守備の連鎖をきちっと作りそれを忠実に守ることに集中する。その上でひたすらパトリックという個の力を躊躇なく使い続けて、勝機をうかがう。ただし、中澤、栗原はその手の勝負では一歩も引けを取らない。中澤の要所を抑えた、あるときは相手のパワーを利用するような、クリーンな守備は、本当に味がある。堪能させてもらった。

とはいえ、守りが安定したのに対し、決めるべきものが決められなかったでは片付けられないのも事実。清水戦の前半4分に俊輔が決勝ゴールを叩き込んで以来だから、266分無得点ということになる。なのに、その3試合で勝ち点を5あげている堅守は大したものだ。だが2引分よりも、1勝1敗のほうがいいのが今のルールなんだよねぇ。

誰かひとりの責任ではないが得点が取れてない事実。ケチャップどばーを待つしかないのか。俊輔が言うように、スーパーゴールかスーパーヒーローの出現はあるか。

いよいよ残り6試合になって、久々に首位陥落、ま、この混戦をみるにつけても、あるいはシーズン前の評価を見ても、マリノスがそこまで突っ走れるはずもないよ、と開き直ろう。

そして天王山がやってくる。ナビスコ杯と天皇杯を間に挟んで、10月19日、広島を日産に迎え撃つ。早くも広島のサイトでも天下分け目の決戦などと書かれているが、なんと同じ時間帯には鹿島対浦和戦も組まれている。こちらは3位と4位の直接対決だ。

スゴイことになってきた。でも最後に笑うのは横浜F・マリノスだ。シャーレを掲げるのは中村俊輔だ。

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