【保存版】中村俊輔がシャーレを掲げる

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あのスタジアムが超満員になり続ける日はどうしたら来るのか?

2007年10月、僕は新婚旅行の行き先を妻と決めていた。グラスゴーセルティックパークに行って、前シーズンにリーグMVPを受賞した中村俊輔を応援しよう!、そう考えて航空券と、リーグ戦のチケットの予約を試みた。

だが試合日程は運が良かったのか悪かったのか、チャンピオンズリーグのグループリーグか、宿敵レンジャーズとのダービーマッチしかない。二ヶ月前に調べ始めたら、チケットはすでに完売。英語のサイトで、いろいろ調べたけれどもどうにもならなかった。ひょっとしたら、現地に行ってからの交渉、ダフ屋?などでなんとかなったかもしれないのだが、保証もない中でグラスゴーに行くのはと日和ってしまい、行き先は結局ロンドンに変更になった。俊輔が見たかったのであって、プレミアリーグが見たかったのではないという妻の結婚後最初の名言によって、旅行中にサッカーを生で見ることすらなかった。

ミュンヘンでもバルセロナでも、マンチェスターでも、ビッグマッチになるとチケットが売切れ、プラチナチケット化するというが、日本では? 先月のW杯最終予選、日本対オーストラリアにはチケット販売に際して50万人の応募があったというが、残念ながら代表の大一番という超超特殊ケースであったと言っていい。

だが、Jリーグは世界で12番目に観客動員の多いリーグなのだという。ドイツ、イングランド、スペインはリーグ全体でも3〜4万人を超える別格の存在で、メキシコや中国などがいて、日本は12位。王国ブラジルは13位なのだそうだ。

それでも今のJリーグは、観客動員という点で、何回目かの曲がり角に来ているのかもしれない。J1全体は東日本大震災を除いて少しずつだが着実に伸びているものの、浦和、新潟という観客動員最強クラブが震災前と比べ数字を落としているという事実。

マリノスは現在、浦和と新潟の次、3位につけている。今年のここまでの平均入場者数は、24,275人で、昨年の22,947人をさらに伸ばしている。2位の新潟は25,965人、浦和は36,003人だから、浦和はともかく、新潟の人数がさらに落ちるようなら今年はマリノスが年間2位ということもありうる。

スカパーのフットボールクラッキでマリノスの観客動員の舞台裏が特集されたのはすでに述べた。集客責任者と言っていい、永島誠第一事業部長は、この番組のインタビューで震災で落ち込む前の2010年並に早く回復させることが第一番目の目標と答えた。2010年とは、中村俊輔が8季ぶりに復帰を果たして、監督には日産のスター・木村和司が就任した年。近年では、出色の25,684名を記録している。

去年比で伸びてはいるが、このオーバー25000は非常に高いハードルと言わねばならない。現在の数字は、ゴールデンウィーク中の鹿島戦(3年振りとなる4万名を記録した)を含んでいる上、まだ上限が1万5千名のためどうやっても足を引っ張るニッパツ三ツ沢での試合が2試合残る中での数字だ。さらにあろうことか、ドル箱の浦和戦が平日開催…。ここから観客動員の平均数を押し上げるには、ドラマ性のある展開、つまり抜きつ抜かれつの優勝争いが不可欠だろう。

マリノスファンならご存知の通り、再入場を可能とした上でのトリコロールランドでの様々なイベントは来場者の満足度をあげる上での効果は大である。うちのシュンスケ(3)は、ふあふあマリノスケや、手でペダルを漕ぐ電車みたいなアトラクションはすっかり常連さんだ。サンマを焼いたり、マグロの解体ショーをしたり、カブトムシ釣りをしたり、サッカーの試合と直接関係のないイベントであっても次から次へと仕掛ける営業努力はすごいと思う。ゴールデンウィークの鹿島戦にはウルトラマンが来た、今度はどんなゲストが来るのだろう!と想像するだけで楽しくなる。ちなみに週末のニュースで見たけれど、等々力の陸上トラックをフォーミュラカーが走る演出もすごすぎだ。

永島部長によれば、スタジアム外で行われるトリコロールランドの狙いはこうだ。トリコロールランドはキックオフ3時間前からオープンしている。広大なイベントスペースを利用することで試合の2時間を含めた合計5時間、つまり半日たっぷりと楽しめます、というのがコンセプトになっている。だから、仮に試合開始直前に来場して試合だけを見たがマリノスが負けてしまったとすると、その人は「ああ、こんなものか」ともう二度と来てくれなくなるかもしれない。だから来場した人に、何らかの形でいかに満足してもらうかということになるのだ。

無料で配布される「招待券」というものがあるが、永島氏は、意味のない=リピートにつながらない招待券の配布が嫌いなのだという。本当の意味で観客動員を伸ばそうとしている責任者の思考として、極めて共感できる。事実、ここ数年で、無駄な招待券を大幅に減らしているのだそうだ。だが、チケットがない、売り切れたという事態を、7万2千人収容の日産スタジアムで作り出すのは至難の業だ。wikipediaによれば、全世界でもクラブチームで日産以上の大きさのスタジアムをホームとしているのは、バルセロナボルシアドルトムントACミランインテルなどわずか10クラブだけなのだ。

現在のマリノスが押し進める、来場者の満足度アップと、並んでもう一つ絶対的に必要なことはファンの裾野を広げることだ。1回来た人を2回来させるのも大変だが、来ようとしない人をどう来させるのかは別の意味で大変な事だ。テレビの地上波放送がほとんどない今の環境、日本代表への高い注目をJリーグに誘導するという流れができていない状況は厳しい。

ただ、強力な武器になりうるのが、SNSや口コミだ。

単純に今、平均的に来場している2万4千名余が、親兄弟や、友人を2名ずつ連れてくるだけで、超満員なのだ。このブログを書いているのも、微力だけれども、まだJリーグを生で見た事がない、最近見ていないという人がちょっとでも興味を持ってくれたらいいなという思いで書いている。誘おう、誘おう、職場や学校や家の近隣の人たちを。ちょっとストレスが溜まり気味の人なんか、スカッとして一気にハマるかも。

マリノスを、Jリーグを盛り上げるのは僕らのちょっとした行動にかかっている。と、信じる事にする。Jリーグでトップになって、常時4万、5万、6万人が入るようになるには、まず口コミからだ。今は絵空事だけど、もしそうなったら、スコットランドの若い夫婦が、セルティックのレジェンド・ナカムラに会いに、ニッサンに来てしまうかもしれない。(今もたまーに白と緑のストライプを着込んだ白人に会うけど、あれってそういうこと!?) もうそのときは、世界のマリノス。そんな絵が生まれたら、永島氏は会社やめちゃうかもしれないそうだ。

「ナカムラを見に、毎週これだけのサポーターが集まるナンテ・・・。グラスゴー以上に、彼はヨコハマのレジェンドなんだナ。サヨナラ、僕たちのナカムラ・・・」 

そんなスコットランド人たちのつぶやきが聞こえてくる。

http://soccer.blogmura.com/f-marinos

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