【保存版】中村俊輔がシャーレを掲げる

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プロチームは勝ってこそ。今年もこの歓喜を、と気づかせてくれる試合(Jリーグクロニクル・第10位 2004サントリーチャンピオンシップ 第2戦 浦和対横浜FM)

僕のようなニワカにはたまらない特集だ。

現在、スカパーで放送されている「Jリーグクロニクル」は、過去20年のJリーグの試合から、投票によりベストマッチを決めるもので、上位10試合がフルタイムで、映像を見ながら現在の実況・解説をつけて放送される。

こういう取り組みに、Jリーグ側の新たなファン獲得やリーグとしてのブランディングに対する強い意志を感じる。放送の権利処理もすばらしい。

どうせなら中断期間の、試合に飢えていた時期にやってくれよと思うが、昨日は第10位に選ばれた表題の試合が放送された。

以下、詳しい方は何を今更と思われるので、読み飛ばしていただきたい。が、僕のような初心者かつ、当時はJ2ばかり追っていた者としては、発見が多かった。

まず、この2004年のサントリーチャンピオンシップは、2013年現在では最後の年間王者決定戦となっている。2005年から世界標準とも言える1ステージ制に移行したので、2ステージ制のときのように王者が2チーム現れて白黒はっきりさせようぜ、ということがなくなった。

短期よりも長丁場のシーズンのほうがまぐれ優勝は起きづらく、より実力を反映した戦いになる。しかも2ステージ制の場合は年間で最も勝ち点を取ったチームが両ステージで優勝できないということも起こりうる(柏で実際に起きた)ので、何をもって最強とするのかがはっきりしないという指摘もある。

今、降って湧いたように、2ステージ制復活論が起きている。秋春制へのステップと噂されているが、チャンピオンシップという世間の耳目を集められ、集客や視聴率も期待できるキラーコンテンツを意図的に作り出すのはエンターテイメントとして、アリだと僕は思う。

そうしたタイトルマッチの持つ魅力を、この試合は存分に感じさせてくれる。タイトルがかかってるから退屈な部分もあるけど。

第1戦、河合竜二のヘディングであげた虎の子の1点を守りきって1-0と勝利した、マリノスが有利か。はたまた圧倒的なホームである埼スタで第2戦を戦うレッズにとってはアウェーでの0-1などたいした意味をもたないのか。

戦前は浦和有利の前評判が高かった。まず、ファーストステージこそ優勝を飾って、03年ファーストから3季連続優勝としたマリノスだが、セカンドはけが人も続出して低迷した。この試合でも、安久保、貞桓、柳想鐵、遠藤らが出場できない、まさに満身創痍だった。

ただマリノスの粘りはすさまじかった。試合は、浦和がペースを握ってマリノスがそれに耐える時間が多い。27歳の三都主が果敢にしかけ、23歳のエメルソンが緊張しているのかプレーが固く、20歳の長谷部誠が中盤で躍動する。それを、中澤(26)、松田(27)、河合(26)の3バックで対応するが、この三人マジでレベル高い。あと一歩のところで浦和に決定的な仕事をさせない。

このゲーム、マリノスのスタメンは、

坂田 清水

ドゥトラ 田中隼

中西 上野

中澤 松田 河合

榎本

ちなみに浦和は山岸、アルパイ、闘莉王、ネネ、山田、長谷部、鈴木、平川、永井、三都主、エメルソン。

たかが9年、されど9年。特筆すべきはやはりドゥトラで、当時31歳。解説の水沼さんが絶賛するスピード。今も十分すごいけど、当時はもっとすごそう。ただファウルしたあとのごまかす素ぶりはまるで変わらず、その人懐っこい笑顔の分だけ顔にシワが刻まれたのか。

後半も半ばを過ぎた頃に、エメルソンのシミュレーションとすべきプレーで、中西が退場になる不可解な判定があった。ここで得たFKを浦和の三都主が直接決めて、意地の先制点をあげる。トータルスコアはタイ、しかも残りの時間は一人少ない。

一気に浦和が押し切るかという展開だった。だが、マリノス徳俵を絶対に割らない。120分まで守りきった。そしてPK戦では耐えに耐えたマリノス勝利の女神は微笑んだのだった。

闘莉王、長谷部が外した浦和に対して、マリノスは奥、上野、坂田、そしてドゥトラの4人全員が落ち着いて決めた。この瞬間、2年連続3回目の年間王者なる。岡田武史って、やっぱすげえ、将来の日本代表再登板が密かに決まった瞬間だったのかもしれない。

ちなみに浦和の猛攻を防ぎ、PK戦でも2本止めた榎本は、えのてつではなくえのたつ。現栃木の守護神、その人だった。

さらに、このチャンピオンシップのMVPを獲ったのは中澤佑二26歳。変わったものがあれば、この男の頼れる守備のように、変わらないものもある。それが9年という時間。

たった9年前だが、まだ栗原勇蔵も、兵藤慎剛もいないころの話。齋藤や端戸はジュニアの選手として、横国でボールボーイをしていたというそんな時代だ。マリノスはチームとしてのピークを迎え、レッズはここから強くなった。下りと上りの違いはあれど、リーグの歴史に名を刻んだ両雄の試合は見応えがあった。

あれからご存知の通り、マリノスは優勝どころか優勝争いさえしていない。確かに昔の彼らもかっこいいのだけど、今を生きる僕らは、ドゥトラ(39)、帰ってきたマルキーニョス(37)、中村俊輔(35)、中澤佑二(35)が大好きで、この輝きが歴史に刻まれる事を願っている。

このメンバーで優勝したい。チャンピオンシップがないけど、20年後に投票で上位にランクインするような優勝決定試合を見たい。

まだご覧になっていない方はもちろん、生で見たわいという方も、今このタイミングで見て、何かを感じることが重要な気がする。youtubeでも検索できます。

http://soccer.blogmura.com/f-marinos

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