決勝点を奪った際の、齋藤学を追い越さんばかりの一瞬のスピードに魅了された人もすでに多いのではないでしょうか。
自分でも持て余すようなあの長い手足。それで跨ぎフェイントを入れるときの威圧感は十分。ボールの置き方とリズムも独特なものがあるのでしょうか。藤春をはじめとし、対峙したG大阪の選手は対応しづらそうでした。
守備もサボりませんし、テレビではあまり映らなかったかもしれないですが、味方のCKでは度々相手GK東口の進路を妨害しようとします。
この時に、その長い両手を思い切り伸ばす姿が印象的で、何から雨乞いをするかのような呪術的か雰囲気があります。それを繰り返し繰り返しやるものだから、短気な東口からすればイラっとしたことでしょう。
マルちゃんこと、マリノスの新加入FWであるマルティノスのデビュー戦での一幕です。
彼の出身地キュラソー島と言えば、野球を見る人なら、ヤクルトに所属するバレンティンを思い浮かべるのではないでしょうか。プロ野球球史に残る怪力選手をはじめ非常に多くのメジャーリーガーを輩出している野球大国です。
マルちゃんが何歳まで島で育ったのかは不明ですが、キュラソーの子供達のサクセスストーリーは、野球で身を立てること、つまり、中学生で米球団の目に留まるまでうまくなってメジャーの球団との契約を目指すというのが一般的なようです。
以前にも書きましたが、現在のサッカー代表の監督は、90〜00年代前半のスター選手だった元オランダ代表FWのパトリック・クライファート。彼もまたキュラソー出身者としてはドリームを掴んだ人物に違いありません。
その系譜を継ぐのが、マルティノス。世代別のオランダ代表を経て、今はキュラソー島代表に選ばれています。
それにしても、吹田で彼が見せた独特のドリブルはどこで培われたのでしょうか。そしてジャマイカ系を思わせるようなあのスプリント力。
同輩のカイケがまだ見せ場を作れなかったのに対して、マルちゃんが決勝ゴールを挙げたことについて思うのは、「走力にはスランプはない」ということです。
カイケが活きるには、周囲とのコンビネーションが必要です。ただマルは、自身がシーズンを戦っていて身体が出来上がっていたこともあり、如何なく能力(走力)を発揮できました。彼の武器が加わったことで、久々にマリノスにカウンターを成就させる道が拓けました。
それに加えて今後目が離せないのは、大の字になって倒れたり、尻を突き出した上に両手を広げて、判定に不満を示したり、何かと警告が多くなりそうな雰囲気を醸し出したことです。
デビューのG大阪戦では実際に初の警告を受け、その後も彼のオーバーリアクションにはヒヤヒヤさせられました。上手くいかなかった時のメンタルコントロールが、目下の心配事かなと。それも杞憂であれば良いのですが。
試合後に、ゴール裏のサポーターと勝どきをあげる際に、ピョコピョコと飛び跳ねる姿がまた愛らしく、これは人気が出ると思います。
速さと怪しさを兼ね備えたマルティノス、背番号20に、浦和戦でもどうかご注目あれ!!
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