開幕から2試合、8割以上の時間をビハインドで過ごす展開。
そして、得点の香りがほとんどしない攻撃がひたすら繰り返されるのは決して楽ではありません。
与えたくない先制点をいとも簡単に許したのは、金森を追いかけた中澤佑二がサイドで倒したことがきっかけとなりました。
捕まえきれなかったウェリントンのヘディングがマリノスのゴールマウスを捉えます。ほぼ唯一のチャンスをしっかり決められてしまったのは前節とほぼ同じ。
とくに前半、裏抜けも、工夫もなく、後半の開始から投入された仲川輝人が脚でかき回すのも同じ。ここで交代となった前田直輝は無理やり打ったミドルシュートの印象しか残らないデビューとなりました。
ところが仲川がエリア付近からマークを外して左足で打ったシュートは枠を捉えられず、伊藤翔がサイドを駆け抜けてあげたクロスに齋藤学が飛び込むもポストに阻まれる。
五分五分またはやや不利なボールを競るケースで、不運もあり度々カードを受けてしまっていた選手を続々と変えます。
小林祐三から三門雄大、さらに喜田拓也から富樫敬真。圧倒的にボールを保持するも、シュートに行けないマリノス。
福岡の先制点の時と同様、齋藤学を倒した福岡のファウルも不用意だったように思います。
この時、相手のGKイ ボムヨンは城後や坂田など3名をニアに立たせた上で、流石にここからニアは射抜けないだろうとばかりにファーを守ります。
現場で見えたことなのですが、この時、イと、壁の間で意思疎通に時間がかかっていたのです。枚数とポジションを指示するのは当然GKの役割。マリノス側ゴール裏の「世界の果てまで」の音量と、俊輔の存在感が彼を慌てさせたのか。
なんだか指示がカチッとしないまま、壁に入った城後らも確信がないまま再開の笛が鳴ります。
ゴールラインの5m前では完全に枠外でした。これを「降らせる」と俊輔は表現します。
ボールが落ち始めた、その場所にゴールマウスがちょうどの高さで待っていました。
今年も。今年も中村俊輔！
九州の皆さん、これが世界の左足ですよ。
ゴールネットの真裏にいた私たちは、イのポジションがだいぶ遠いのも見てましたし、蹴った直後にゴールインを確信した俊輔が走り出すのも目に入っていました。
本当に気持ちがいいですね。入ると分かったフリーキックがゴールインするのを待つあの、コンマ何秒か。キーパー触るなよ、おかしなアクシデントさえなければ、絶対に入る。
スカパーのハイライトVTRを担当した、八塚浩さんは「82分、中村俊輔がボールに魔法をかけます」の一言だけを告げ、あとはゴールインまで映像だけが流れます。スポーツニュースらしからぬ表現ですが、すべてを表していたかもしれません。
まだまだ本調子ではない中村俊輔、さらに60分までの出場だったはずなのに、結局は82分のフリーキック一閃。最後に、私たちが福岡に駆けつけた意味を持たせてくれました。一体どこまで記録を伸ばすつもりでしょう。
日本代表のGK 3名を撫で斬りにした昨季、そして今季は早速韓国代表を手玉。なんだかやられた方も名誉ある系譜に名前を連ねたとも言えませんかね。
それ以外の場面ではワクワクすらすくないからこそ、あのフリーキックでスカッと爽快。ただ。やはり問題は山積みです。
今年も中村俊輔。
今年も決定力不足。
今のところ、何も変わっていない、相変わらずな僕らです。
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