試合後のインタビューでの樋口監督が本当に完勝と、破顔一笑したが、あらゆる面でマリノスが上回ったと言えるだろう。
「対策らしい対策を練らない分かりやすいゲーム。相手にウチが合わせるのではなく、我々のスタイルで相手の形を消す、それですべての面を上回ろう、しっかり前に出て相手のボールを奪おう」と送り出したという。とくに縦へのパスへのみんなの意識が高くて、浦和からすると、こんなにチェックが早く強いのか、と驚いたのではないか。実際に開始間もなくから浦和は前線にパスが送れなくて困っていた。しかもいくらエサを見せて誘ってもマリノスは安易には食いつかない。結局のところ、マリノスのミスを待つはずが、そのうちに自分たちのミスをマリノスに奪われてしまってはゲームプラン通り行くはずもなかった。
それにしても小椋は効いていた。鹿島戦で課題となった、前にボールを奪いに行くタイミング、判断が格段に向上したからだ。周囲、とくに中町との連携もあっていた。浦和の陣内へボールを取りに行くと見せかけて行かない、行かないと見せかけて行く。この動きも浦和を大いにビビらせたはずだ。しかも、行くときのスピードと粘りが半端じゃない。
先制点のシーンは、なぜか那須が中央、ペナルティエリアのわずかに外でクリアせずにキープを選ぶというミスが遠因だった。目の前には闘犬、小椋祥平が手ぐすねを引いているというのに。奪う！と決めてからの動きが素晴らしかった。その後も、ベースはバイタルを埋めながら（70分過ぎまでほとんど使われなかったけど）、行くときは行くという動きが良かった。小椋も良かったし、中町や俊輔が行きたいときに行けるようにずいぶん話し合ったのだろう。鹿島戦での結果に萎縮せずに小椋が持ち味を出せたメンタルの強さも称えたいと思う。
小椋祥平のコメント。「１点目の場面は、相手から上手くボールを取れるとは思っていなかった。簡単にパスを出されていたら、プレスを外されたと思う。けど、あそこで相手がボールを持ってくれて、粘ることができた。何とか俊さんの前にボールを、こぼすことができてよかったです。後半だったり、先制点を取った後、前節のことがあったので、『ここからだぞ』と、みんなでしっかりコミュニケーションをとりながらできた。バランスもマチが考えてくれたし、俊さんも考えながらやってくれていた。やりやすかったです。
今日は３点取れてよかったんですけど、後ろの選手としてはゼロで終えられたことがよかったと思う。相手は２シャドーにボールが入った時に攻撃の形になると思うので、そこに何とかパスを入れさせないようにと考えながらやってました」
守備の奮闘も素晴らしかった。榎本のオニセーブは神がかり、小林祐三も対面の槙野に攻撃面でほぼ仕事をさせない安定ぶり。しかし、誰よりも期するものがあったのは中澤佑二ではなかったか。彼もまた、彼だけの責任ではないのだが、前の試合で鹿島の大迫に2得点を許してしまった。それだけにコオロキや柏木、原口に入るボールをことごとく跳ね返していた集中力、それからそもそも一対一での対応が極めて少ない絶妙なポジショニングに賛辞を送りたい。
前節の小椋や中澤を、へただの、衰えただの、文句ばかり言ってた人はぜひ謝ってもらいたい。
最後に俊輔。もう慣れたつもりだったけど、またさらに上手くなっていないか？笑 70分頃だったと思うが右サイドで阿部を置き去りにした突破が一番驚いた。やられた阿部の姿に驚いた。
ダメ押しの3点目、右に持ち出したときに、味スタでの左足ミドルの弾道が頭によぎったが、このときは右足でシュート。ゴール左隅に決まる。まったく手が付けられない。右足のゴールがリーグで3年ぶりなら、1試合2点は14年ぶりなんだとか。こないだの鳥栖戦のヘディングも10年以上経っていたし、あとどのくらい何年ぶりをやるつもりなんだろう。忘れてはいけないのは13年ぶりのリーグMVPももう目の前に来ているということ。どれほど、上手くなるのだろうか。今の中村俊輔をスタジアムで多くの人に目に焼き付けてほしいな。
そして順位表をチェックだ！（第23節終了時点）・・・ムフフフ。
1 横浜FM 47 +19
2 広島 44 +17
3 浦和 43 +12
4 C大阪 38 +14
5 鹿島 38 +2
広島が甲府に完敗して、セレッソは仙台にドロー。さらに鹿島が清水に4失点を喫する痛恨の敗戦で、マリノス以外の上位陣総崩れ。我が軍には望外の結果となり、アタマ一つだけ抜けることができた。しかも得失点差でも堂々のトップに立った。チャンピオンロードを歩むにふさわしい。
次節は中2日でのアウェー大宮戦だ。相手は8連敗と泥沼の中にいるが、、、そんなときこそ怖い。
何よりも、ヒーローインタビューを辞退したと見られる俊輔の膝は大丈夫なのか。彼なしでは今のマリノスのクオリティはあり得ない。2日間、祈る思いで、いや本当に祈って、俊輔のコンディション回復を待とう。
最高の形で進軍再開した。自分たちの力で奪い返した首位の座。もう、離したくない。
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