【保存版】中村俊輔がシャーレを掲げる

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1-0で勝ち切る。見ていて楽しいかどうかではない、勝ち点をいくつ積み上げたかだ〜第13節・サガン鳥栖(ベアスタ)

気温が30℃を越え、五連戦の最終戦。スタメン10選手が中二日。

相手は肉弾戦で鳴らすサガン鳥栖

苦しい試合にならないはずがない。我が軍の名将をして、「最も後悔の残る試合」が去年のベアスタでの鳥栖戦だった。この先鳥栖がJ1に定着しようが、そのうちJ2に落ちて忘れ去られわうが、いくら昨年の最終戦できっちりお返しをしようが、彼らのJ1で初白星をあげた相手が横浜Fマリノスだということは一生変わらない。また今年も相手の肉弾戦の術中に再度はまってしまう可能性は十分にあった。

中澤はラフプレーの前に前半早々に途中退場を余儀無くされたし、開始しばらく20分間はセカンドボールを奪い合う前に削られ、この試合はどうなってしまうのかと思った。

だが、中澤の交代で入ったファビオを含め、守備の集中力、粘りは素晴らしかった。マルキや兵藤の早めのチェックもさすがだし、中村俊輔がいい意味で守備にも奔走する姿は今が守りの時間帯なんだ、慌てることはないと周りにつたえているようにも見える。幾つかマークがルーズになったとき以外、鳥栖に得点の匂いはしなかった。

前半のロスタイム、俊輔のフリーキックは速めのまっすぐキーパーに向かうボール。飛び出すか、ステイかキーパーにはさぞや目測が難しいだろう。そこにマルキが飛び込み頭で方向を変え流し込んだ。が、クロスバー。惜しくも、スコアレスで前半を折り返す。

この惜しくもが、後半も続く。削り屋の鳥栖はとにかくファウルで止めるから、バンバンフリーキックを与えてくれる。柔軟、高低織り交ぜて我らの俊輔はゴールに迫るが、どうにも決まらない。マルキはこの日シュート7本、いずれも惜しかった。はっきり言ってハットトリックでもなんらおかしくないほどのチャンス数。

でも仙台戦とはみちがえる動きの質、守りでの貢献。さすがだよね。ただ、ただ、マルキの日ではなかったということ。毎試合バカスカ決めてたら、とっくにセレソンだっつーの。

そのときはやってきた。76分、小林祐三が倒されて得たFK。直前に俊輔は富澤にサインを送っていた。前半にマルキがクロスバーを叩いたときと同じようなキーパーにまっすぐ向かう弓なりのボール。今度こそ富澤が難なく流し込み、鳥栖の守備陣はなす術がない。

待望の、あまりにも待望の一点が入った。このドゥ虎の子の一点をしっかりと守り切る大人のサッカーを見せて、勝ち点3を手中に収めた。

見方によっては塩っぱい試合だったろう。中町交代以降の時間の使い方などは、観客殺し、アンチサッカーだったかもしれない。

だが大事なのは観客が何回沸いたかではないだろう。何本枠内にシュートを打ったかでもない。要するに、1-0で過酷な条件下で勝ち点3を取った。奪取した。そのことがただひたすらに尊い

大人のチームだから、自らを律し、必ずや自分たちの時間帯がくると自らに言い聞かせ、憎らしいほどに冷静にミッションを達成できた。今日の振る舞いは、優勝争いをするチームの風格に足る。

では、優勝争いをした上で、優勝するために今はまだ足りないものは何か、それは底上げだ。

柏が6失点して浦和の前に敗れたが、7月のリーグ再開後はますますタイトでタフネスの問われる展開になるだろう。そのとき、どんなに優秀でも、どんなに若くても過密日程がチームを別の姿に変えてしまうとしたら。答えは同じ実力を発揮できるチームをもう一つ作ることしかない。

だが、俊輔の代わりなど日本中探したっていやしない。マルキの代役をブラジルから探せるなら、とっくにやっているだろう。

つまり昨日から韓国に旅立った若武者がどれほどレジェンドたちに近づけるのか。この一ヶ月余に全てを賭けてほしい。

ここまでの13試合で勝ち点27は間違いなく優勝ペースだ。それを続けられるか、若手よ今こそ目覚めよ!