いきなり私事で恥ずかしながら、男三十四にして初めてレプリカユニフォームを購入した。5月3日のことだ。
背番号25、SHUNSUKEとプリントされた真っ青なシャツ。これからは家族三人、お揃いの番号を背負って観戦することになる。
なんとなく青いシャツを無理やり着せられていた感のある、もうすぐ三歳の俊介も父が加わったことにより、俄然ユニへの愛着を見せている。
サッカーそのものを見るのは好きだったが流し見という程度で、かじりついて見たのはW杯本戦やユーロくらいだった。Jリーグでは以前新潟に暮らしていたときにアルビレックスがJ1昇格を果たすなど人気絶頂だったこともあり、新潟びいきである。
ただスタジアムに通いつめるような熱心さはないし、いま横浜の町に強いゆかりがあるわけではない。スタジアムの近さが地元というならFC東京か、川崎という土地に住んでいる。
なぜそれが、今年いきなりマリノスか。答えは中村俊輔の存在をおいて他にない。
妻と二人、ずっと一番好きなサッカー選手は中村俊輔だった。スコットランドでのMVP、ドイツW杯での得点、欧州CLマンU戦でのFK。長年、日本人トップランナーだった。
2010年に整わないコンディションとともに俊輔はマリノスに帰国して、妻が久々にマリノスの応援を始めた。しかし俊輔は結局W杯で思うような活躍はできず、代表引退、チームでも長い不調に陥っていた。そのころは僕もそんな様子を見て、応援したい!と強くは思えなかった。
その後の彼は変わったと思う。プレーだけでなく、闘志でもチームを引っ張るようになった。勝ちたい、このチームを勝たせたい。そんな姿勢が目立つ。そしてプレーの中身も、コンディションがしっかりと整うことで、トップフォームに近いとメディアでも取り上げられるほどになった。
心身ともに漲る、今の中村俊輔のプレーには見るものを揺さぶる力がある。だがこの力はあと何年発揮されるのだろう。
いつ優勝するのか、いつチャンスなのか、いつこのプレーを目に焼き付けるのか。
今年でしょ。
ACLとか、なんとかはよく実感がわかない。来年のことはそもそもわからない。ナビスコもいいけど、やはり銀皿を掲げる姿が見たい。
毎試合、僕たちも微力ながらパワーを送ろうではありませんか。孫の代まで、あの年のマリノスは〜と自慢しようではありませんか。