【保存版】中村俊輔がシャーレを掲げる

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素人の見た、第11節・名古屋グランパス(豊田)

相手は関係ない、目の前の試合に全力を尽くして勝ち点3を得たい。それが大事。

とは言うものの、試合前に首位・大宮が22試合ぶりに敗戦。この4節で追いつかれ、追い抜かれ、離される一方だったところにようやく大宮が止まってくれた。ここでマリノスがきっちり勝ち点3を積めば、流れは一気に変わる。と勝手な期待と不安が、さらに高まる。

試合前のマリノスに関する論調は2つ。

1つめは栗原と中町の出場停止による代わりを誰が務めるかというもの。それぞれ、センターバックはファビオが、ボランチで富澤とコンビを組むのは小椋がファーストチョイスとして予想された。ファビオについては、栗原が代表戦で不在の際にナビスコでも結果を残していたし、名古屋のストロングポイントである高さ対策という意味からも異論はなかった。その次の策としては富澤を最終ラインに下げることだろうか、そんな議論が出ないまでファビオのレベルは高い。

一方でボランチの「関係性」「連動」、はたまた中村、中町、富澤のトライアングルの「バランス」といいのは、僕のような素人にはなんとなくしか分からないものだ。

つくづくボランチは難しい。組み合わせ次第でバランスがものすごく変わるというのは感覚としても、理屈としても十分わかる。ただ、どうせベストメンバーは34試合は組めない。今回のような出場停止もあれば、ケガも、不調が続くことだってあるだろう。それなら選択肢は多い方がいい。アンドリューか、佐藤優平の起用か、兵藤や俊輔をボランチにさげるのか。そのなかで本職としての小椋。いいじゃないか。代表のように年に数回しか顔を合わせないならともかく、この選手とこの選手の組み合わせは全くだめ、死亡、なんてこと、ないでしょ。

そして1つは2トップが機能するのかという話題、いや機能しなそうだから1トップに戻すべき、樋口監督は何で2トップに、マルキと藤田の併用に固執するんだ、そもそも彼らの相性が著しく悪いのではないかという批判。そこに加えてマルキの足が痛そうな件。柏戦でも確かに運動量は物足りず、瞬発力もない。

俊輔をトップ下で起用して自由を与えるのが最大のストロングだから、それをわざわざ放棄するのが4−4−2だというのが、専門記者さんの論旨。マルキと藤田は合わないとここでも相性を断定する論議。もう合コンじゃないんだから・・。専門記者さんがよく取材されているのはわかる。またマリノスへの愛が強いが故にチームに厳しいことをあえて言うという姿勢は理解するけれど、じゃあおまえがやれよとツッコミ満載の記事は不愉快だ。マルキは出すコンディションじゃないと言いながら、出すなら相手への脅威になる彼を最後まで引っ込めるなと。どうせいっちゅうねん。よし、今日こそ、専門記者くんを黙らせろ、マルキと藤田。

午後2時55分、スカパー中継開始。我が家では妻と俊介と3人で観戦準備はばっちり完了。なんで今日は日産スタジアムに行かないのか、と息子が問うてくるが、そろそろアウェイとホームが交互にやってくることを分かってほしい。

豊田が屋根がしまるなんで初めて知った、でもピッチは少し湿ってるのか、学はいつ入れるべきかなど、早くもうきうきが隠しきれない。

前半、とにかくマルキと藤田に集中してみる。うーん、確かにマルキの動きは重い。おさめるべきボールを田口に狩られる、狩られる。藤田はよく動いている。ボールよく追うし、動き出しも速い。技術が・・などと言われるが、そもそもこのガタイ、スピードも並以上にあるのに加えてテクニックがあったら、個人昇格・降格を繰り返したりしないだろ。その前提でみたら、一生懸命ファイトするいい選手じゃないか。ヘタとかいうな。 この日もマルキにスペースを与えようとか、マルキのおさめたボールをもらおうとか一生懸命。でもうまく崩すに至らない。←それを相性が悪いと言うのかしら^^;

名古屋のほうが、小気味好くパスをつないでいるし、何しろ高さが怖い。おいおい、コーナーでケネディについているやつが低いやんけ、ミスマッチ。と思ったら我が軍で最も高いファビオがついてたりする

。玉田も強いし、トーリオもいるし、そのうち矢野きしょうも入ってきたらと考えると背筋が冷たい。

マリノスのチャンスは決定的な場面は作れずにいたが、41分30秒のシーンに2トップに変化が起こった、と素人は勝手に見た。

それはこんなシーンだった。富澤からのフィードを右サイドで受けたマルキ。ペナルティエリア内を見てあげたクロスは中央に駆け込んだ藤田のはるか頭上を越えて、ファーの兵藤を追い越して逆サイド深くまで流れて行った。

ボールがタッチラインを割ったそのときに、エリア内で笑顔で動きを確認し合うマルキと藤田。

「そのタイミングやったら、兵藤じゃなくてわしに合わせてくれなかなわんわ」「せやな」

みたいな会話があったと見る。いや多分ない。が、この瞬間に打ち解けた二人。これがその後につながった!という勝手なストーリーを展開します。

49分にPKを決められて名古屋が一点リードした。早めの交代でPKを献上した小椋にかえて齋藤学。さすがに名将樋口が早めに動く。明確に縦への突破が生まれてわくわく。その後の59分、田中隼がわざわざコーナーキックを一本こちらにくれた。危なっかしい楢崎への頭でのバックパスがそのままエンドラインを割ったのだ。

ここまで5〜6本のCKはファビオ、中澤、そして藤田あたりに合わせていた俊輔のキック。それまでは名古屋の高さの前に、うまくフィニッシュにつながったものもなかった。

が、藤田やファビオにはきっちりマークが付いていたが、まさかのマルキがドフリー。ずどん。藤田の動きがマークを引きつけていたからと声高に主張したいが、名古屋のミスだと思う。たぶん。

その後、押していたのは名古屋。サイドアタックから70分、藤本にフリーで流し込まれたときはやられたと思った。また73分には、藤田が自陣30mまで戻って献身的に守備をするも相手を倒してファウルをとられる。勝手に倒れたようにも見えたが・・思わず藤田、判定に異議を唱えて、西村主審はイエローを提示。

むう、嫌な位置のフリーキック・・・だったがこれを榎本が直接キャッチ。すぐさま加速した小林祐三にスローでボールを送る。高速カウンターの始まりだ!

うん、きれいに足下にわたり、味方のあがりを待たずに左からハーフウェーラインを超えると、前方右サイドを走るマルキにピンポイントで浮き球のパス。

そして今日最高のプレーと言ってよい、マルキのトラップが秀逸。ひとりマルセイユルーレットのような反転が入って、ボールを巧みにコントロールした。中央を見る。齋藤学がDFを3枚引き連れてニアに走ってきた! 追いかける名古屋のDFも必死に最高速、しかも3枚で学を囲む。これならさしもの学も決められ・・・3枚? ほぼ同数のマリノスと名古屋の選手がエリア内に入ってきたはずなのに?

マルキが選択したのは、ファーに流れた兵藤。ドが5回くらいつくフリー。落ち着いて胸で足下に落とすと、楢崎との距離は7m。決めてくれ!! そりゃ決めまんがな。

ちなみに藤田は、学と兵藤から遅れること10m。名古屋の選手に追い立てられるように走っていたが。明らかにゴールには絡んでいない。ところが、なぜか解説をしていたレジェンド・三浦淳はDFを引きつけていた学を藤田だと思い込んで解説。藤田マジックなのか。単に三浦淳が間違えただけではない。なんと試合後のインタビューで点を決めた兵藤までが、ニアで藤田さんがよく引きつけてくれたと同じ認識違いの解答をしていた! つまり藤田は、すぐ近くにいた味方の選手やスタジアム上部から見ていた元日本代表の目すらだますほど献身的な動きで存在感を放っていたことになる。実質、藤田のゴールと言ってよい。2トップの連動性から生まれたと。・・・まあ、だから劇的にこの試合中にマルキ、藤田の連携がよくなったという仮説だってば。

その後は齋藤学のすばらしい突破から得たはずのCKをゴールキックと判定されるなど西村主審グランパスよりの笛は見え隠れしてたが、ロスタイムにももう一発名古屋にPK差し上げます、の判定。

小林祐三がチャージして倒したということだが、何度リプレイを見てもそうは見えない。名将にして温厚な樋口監督がむちゃくちゃキレとる。こわー。間もなく退席処分を食らう。これだけ監督や選手が激高するときというのはだいたい誤審だそうだが、今回も多分そうなんだろう。

これで追いつかれたら、なんて不当な結果になるのか、主審に勝ち点をさらわれるのかと思った。ロスタイム劇場が甲府(追いつかれた!)、鹿島(追いついた!)に続き、また・・しかも悪い方に・・とやるせない気持ち。

を、守護神が玉田のシュートもろとも吹き飛ばした!! 感涙もの。

「絶対に止めるか、外れると思った!」とはポジティブな妻の弁。確かに名将の抗議で間が空いていた。蹴る方としてはやりづらかったはず。榎本も試合後、「監督が落ち着く時間を作ってくれたので・・・」とコメント。まさかそこまで見越して・・恐るべし名将。

2−1。マリノスの5試合ぶりの勝利。これで7勝2敗2分。勝ち点23で2位のまま。

相手は関係ない。目の前の試合に全力を尽くして勝ち点3を得た。その上に首位との差が縮まった。最高やないか。前節・柏戦に敗れた後に俊輔が言っていた。「ここまでは去年勝った相手に勝ち、負けた相手に負けている。柏も去年も負けて、今年も負けてしまっただけのこと。名古屋は2試合とも引き分けだった。そんな相手に勝てるかどうかが超重要」

その相手に勝った。めちゃめちゃ意義が大きい。アウェーの笛もあった。(その日の夜の浦和対鹿島の笛はもっともっと悲惨だったけれど)

トータルで見ると、柏戦のほうが内容は押してたかもしれない。でも名古屋はまるで勝てなかったときの我が軍のように、決めるべきシュートを決められず、ほんのわずかな隙を突かれて敗れた。我が軍の決定的なチャンスは他にはなかっただろう。決められる2つのチャンスで2点。名古屋は4〜5あったチャンスで1点。どちらが勝ち点3に相応しいサッカーをしていたかなどという世迷い言は何の意味も持たないことを私たちは知っている。

だから盛大に祝おう。次節、3試合ぶりの日産であり、中断前の最後の日産だ。大宮を破った仙台との一戦には川崎戦以来のベストメンバーで臨める公算が大きい。

マリノスは榎本の気迫のPKストップと、藤田の幻惑フリーランで再加速した。また一週間楽しみで指折り数えてしまうぜ。

いつもの場所でトリコロールの勇者に会おう。